構成要素型テストCOMPASSに見る数学的基礎学力の実態 : 「基礎基本は良好,活用に課題」は本当か
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概要
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全国学力調査の結果などを受け,教育現場では日本の子どもの学力について,「基礎基本はおおむね良好,活用に課題」と論じられることが多い.しかし,認知心理学を生かした教育実践では,基礎基本が必ずしも十分ではない可能性が指摘されている.そこで本研究では,これらの実践的な知見や認知心理学を参考に開発された,構成要素型テストCOMPASS(市川ら2009)を中学2年生682名に実施し,もし一般的な社会の認識とは異なり,基礎基本が十分なのではないとするならば,特にどのような学力要素が不十分であるのかという実態について検討した.また,調査対象となった生徒の数学担当教師15名に,中学2年生にとって「十分満足」「やや不十分」「極めて不十分」と考えられる基準を評定するよう求めた.教師が評定した基準と,COMPASSの実施結果を比較した結果,数学的概念の不十分さ,基本的な文章題において演算を迅速に決定する力の弱さ,問題解決方略を自発的に利用する力の不十分さなどに課題があることが明らかとなった.これらの結果は,日本の子どもの学力に対する従来の捉え方に再考を促すものである.
- 日本教育工学会の論文
- 2014-02-20
著者
-
瀬尾 美紀子
相模女子大学学芸学部
-
市川 伸一
東京大学
-
植阪 友理
東京大学
-
鈴木 雅之
国立情報学研究所
-
瀬尾 美紀子
日本女子大学
-
清河 幸子
名古屋大学
-
瀬尾 美紀子
日本女子大学人間社会学部
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