トキソプラズマ感染ならびに死虫ワクチン接種豚における免疫グロブリンの推移
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概要
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今日,トキソプラズマ(Tp)症の免疫の本態は感作リンパ球系細胞が担うところの細胞性免疫にあることが次第に明らかにされつつある。一方,免疫グロブリン(Ig)が主役を演ずる体液性免疫を重視する報告もまた依然として紹介されている。著者らは豚Tp症の免疫研究の一環として,感染に伴う三種免疫グロブリン(IgG,IgA,IgM),ならびに血清蛋白分屑の経日的な変動について量的,質的な検討を加えた。得られた結果について要約すると次のとおりである。1)螢光抗体間接法(IFA)により各種免疫グロブリンクラスの抗体活性を測定すると,感染の初期ではIgM抗体が優勢であるが,漸次IgG抗体に置換されやがて陰転する。すなわちIgM抗体は感染6〜7週目で消失するが,IgG抗体は3〜4週目でピークに達し,その後も色素抗体価に平行しつつ高い値を持続する。一方血中IgAの抗体活性は終始陰性であり,したがって,豚Tp症の抗体活性は専らIgGならびにIgMに属するものでIgAは関与しない事が判明した。死虫ワクチン接種豚においてもまた同様の傾向が認められた。2)これら三種免疫グロブリンの量的推移は特異抗体の出現状況と有意に相関する模様で,急性期におけるIgMの一過性の増量とともに,IgGの漸進的な増加を認めるが,反面IgAの変動は極めて軽微なものであった。3)次に,感染の経過に伴い増加するIgが全てTp抗原と結合し得る特異抗体の産生に基づくものか否かを検討するため,吸収試験を実施したが,色素抗体価の有意な減少を認めつつも期待した程のIgの減少は観察されなかった。4)血清蛋白分屑の変動に関しては,急性期におけるアルブミンの急激な減少,α-グロブリンの増加ならびに慢性期のγ-グロブリンの著明な増加が特徴的であった。
- 帯広畜産大学の論文
- 1974-12-25
著者
-
清水 亀平次
帯広畜産大学家畜微生物学教室
-
白幡 敏一
帯広畜産大学家畜微生物学教室
-
清水 亀平次
帯広畜産大学獣医学科家畜微生物学教室
-
白幡 敏一
帯広畜産大学家畜微生物学
-
白幡 敏一
帯広畜産大学獣医学科家畜微生物学教室
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