北海道における動物の日本脳炎に関する研究 : I.馬についての疫学的観察

概要

論文の詳細を見る
北海道における動物の日本脳炎に関しては,平戸ら(1949)による1948年における大流行時の発生概況と三浦ら(1955)による1948〜'52年にいたる人,馬の免疫学的調査成績が報告されているにすぎない。われわれは従来より北海道における家畜伝染病の血清疫学的研究を行ないつつあるが,今回はその一環として本道における動物脳炎について過去の統計資料に基づいて発生状況を整理し,さらに本病ウイルスに対する抗体保有状況を検討し,本病感染の疫学的ならびに生態学的研究を進めている。まず本報では馬についての疫学的観察を記述した。本道における馬脳炎の流行には1948〜'50年の875頭,1955〜'56年の42頭,1961年の94頭と大きく3つの波がみられた。その他の年度にもそれぞれ少数例の発生が認められている。これら流行を地区別にみると,1948〜'56年は主として道南,道央に発生しているが,1957年以降のそれは道東北部の地区に移行している。これは本道の場合,本病に対する予防接種の成績が地区によって著しく異なるためと考えられる。また本報では,1961年と1966年に,それぞれ十勝地方に発生した流行例の疫学的観察についても記述した。
帯広畜産大学の論文
1969-09-30