北海道における動物日本脳炎に関する研究 : II.馬ならびにその他の動物についての血清疫学的観察

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北海道における動物日本脳炎の血清疫学的観察をおこない,次の成績を得た。1.1966年9月,十勝管内の池田町に馬の日本脳炎が発生し,4頭が顕性発病してそのうち1頭が斃死した。このときに顕性あるいは不顕性に感染した5頭の馬すべてに日本脳炎ウイルスに対するHI,NTならびにCF抗体が検出された。これらの抗体は,その後も若干の減少を示したが,翌年の12月まで保持された(第1表)。そこで1967年10〜12月にわたり,池田町の発生部落と非発生部落,ならびに対照として十勝,釧路管内より採取した馬血清について,3種の抗体を測定して本症発生との関係を検討した。その結果,CF抗体のみが本症発生と関係するような成績を得た(第2表)。2.前項で非流行地区として使用した釧路管内の馬血清についてHI抗体を測定したところ,1967年10〜12月に採取した血清では46.8%(15/32頭)に,また1968年5月の血清では29.4%(25/85頭)にそれぞれ陽性成績が得られた(第2,3表)。この地区は過去に本症の発生が全く認められたことがない事実より,この高率な抗体保有は注目に値する。そこで,本報では他の流行地区ならびに他の脳炎ウイルスとの比較において,この点を検討した(第1,2図)。しかし,その原因を明らかにすることはできなかったが,この釧路地区は馬脳炎の血清疫学を検討する上に興味ある地区と考えられる。3.次に,十勝管内において種々の時期に採取した豚,牛,鶏の血清について,日本脳炎ウイルスに対するHI抗体を測定した。その結果,1967年11月に採取した鶏血清の2例を除き,他はすべて陰性であった(第4表)。しかしこの鶏の陽性例については,例数が少ない上に血清の処理方法,血清採取の時期ならびに本道における日本脳炎の流行上この動物の占める疫学的意義,などについて今後さらに検討する必要がある。
帯広畜産大学の論文
1971-05-30

北海道における動物日本脳炎に関する研究 : II.馬ならびにその他の動物についての血清疫学的観察

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