組織培養液および培養虫体から得られるToxoplasma gondiiの補体結合抗原について
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概要
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ToxoPlasmagondiiの組織培養過程にメジウム中に放出される補体結合(CF)抗原物質,すなわちTC抗原は,硫安の半飽和によりその半量が,全飽和によりその残余のものが,それぞれ完全に沈降した.これはSAB工Nにより改変されたWARRENandRUSSの鶏胎漿尿膜からのCF抗原(CAM抗原)とも,またHooKandFARBERが報告した虫体浸出液からのCF抗原とも,沈降態度が若干異なる.TC抗原は保存性が高く,100°01時間の加熱によっても,抗原性の低下は全く認められない.しかし硫安その他による精製の進行に伴ない,熱抵抗性は減弱し,またトリプシンにより不活化される.DEAEセルローズによるカラム・クロマトグラフイーの成績によれば,これに吸着される抗原分画と,吸着されない分画とに二分される.さらに前者は2~3の抗原群にわかれるが,これらはおおむね0.05~0.6Mの間に溶出してくる.DEAEセルローズ非吸着の抗原分画は,若干の溶血作用を示すのでCF抗原として不適当であるが,TC抗原や硫安精製TC抗原にはかかる作用は認められない.吸着溶出された抗原群は,人工感染豚および兎血,清に対し,TC抗原やCAM抗原とほぼ類似の反応態度をとるが,これと必ずしも一致しない成績を示?す場合が観察された.いずれが特異反応であるかについては,現在のところ明らかではない.組織培養法で収獲した虫体からは,塩掖抽出法,凍結融解法,熱抽出法,または蒸留水抽出法のいずれによっても,容易にCF抗原を抽出することが可′能である.この場合,抽出に用いる虫体浮遊液は,少なくとも8×1077ml以上の濃度の虫体を含有する、ことが望ましい.凍結融解法は7回以上,熱抽出は,100°CI時間程度,行なうのがよい.組織培養虫体からのCF抗原は,従来のものに比、べ比較的純粋な,しかも抗体,体液等生体からの悪感作を受けることがない虫体を出発材料とすることができることと,TC抗原同様,100°CI時間の加熱に対しても安定で,保存性にすぐれていることなどから,従来のものに代りTC抗原同様に,今後大.いに利用されるべきものと考えられる.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1965-12-25
著者
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