最近十勝地方に発生した牛の伝染性下痢症

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昭和38年11月より昭和39年7月にかけて十勝管内の飼育牛に急速に伝播をみた,いわゆる牛の伝染性下痢症についての疫学的,臨床学的ならびに病原学的調査を行ない以下の所見を得た。1)罹患牛総数は7,119頭で,発病をみない6ヵ月未満の幼〓牛を除く十勝管内の全飼育牛の約21.0%に該当する。発病牛は前記6ヵ月未満以外の各年齢にわたり,性・種類間の別なく,発生地域は十勝管内20市町村のうち,更別村を除くほとんど全域におよんだものとみられる。2)本症の臨床的主症状は,発病前日よりの発熱に始まって,急性下痢症状,食欲の減退,乳量の減少などが挙げられ,その経過は普通1〜4日間にわたるものが多い。3)発病牛の血液学的所見として,発病時における白血球総数の変動は明確でないが,軽度な単球増多ならびに好酸球減少などが特徴的変化として指摘される。4)下痢症状の高度な症例につき血清蛋白変化をみたところ,発病後にγ-Globulinの増加が認められた。5)今回の伝染性下痢症発生の流行源と目される輸入牛2頭より腸管系ウイルス2株を分離したが,急性期と回復期に採取した組血清における中和抗体の推移あるいは牛における感染試験の成績より,これらウイルスが本症の主たる原因であったとは考えられない。6)本病の治療法として特効的薬剤が認められない現在,専ら対症療法に主眼をおく以外にないものと考える。
帯広畜産大学の論文
1967-03-31

最近十勝地方に発生した牛の伝染性下痢症

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