一軽種馬牧場における子馬の単一型馬ロタウイルス(G3,P[12])の感染

概要

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子馬の集団下痢症の主因となるロタウイルスの伝播と持続の様相を明らかにするため,1986〜93年間に北海道の一軽種馬牧場で集団発生した下痢症子馬の糞便からウイルス分離を試み,各流行年のウイルス株の諸性状について比較した。本牧場では,毎年2〜6月に200頭前後の子馬が出生し,このうち23.9〜52.9%の子馬で,3〜9月に亘って下痢発症が観察された。これらの下痢便から,1993年を除き,いずれの年度も50%以上と高率にロタウイルスが検出あるいは分離され,分離ウイルス株のRNA泳動像は全て同一パターンを示した。各年度の代表分離ウイルス株は,中和試験とPCR法による型別でいずれもG3,P[12]に属し,RNA-RNA hybridizationにおいても一分離株由来のプローブとの間でよくハイブリッドを形成した。すなわち,本牧場の流行ウイルス株は観察期間を通じて血清学的並びに遺伝学的にほぼ同一であり,この成績から本馬集団では長期間に亘って単一型の馬ロタウイルスによる持続感染が推察された。
帯広畜産大学の論文
1997-06-30