ウシ末梢血リンパ球のマイトジェン刺激によるインターフェロン産性能について
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概要
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インターフェロン(IFN)は,その抗ウイルス活性,抗腫瘍活性ならびに生体の免疫応答能の修飾など多様な作用を持つ生理活性物質として知られている。インターフェロンは特異抗原の他にも非特異的マイトジェン刺激によっても生産される。マイトジェン刺激によるインターフェロンの誘発はヒトおよびマウスにおいて数多く検討されているが,ウシではその報告は比較的少ない。そこで今回,ウシ末梢血リンパ球のマイジェン刺激によるインターフェロン産生能についての基礎的な検討を行った。実験には本学付属農場に飼育されているホルスタイン乳牛のうち,乾乳期の2〜10歳の乳牛14頭を用いた。インターフェロンの測定はMDBK細胞とVSVを用いたプラーク半減法により行った。すなわち,ヘパリン加静脈血より比重遠心法により分離したリンパ球にPHA,ConAおよびOK-432の3種類のマイジェンを加え培養し,その培養上清中に産生されたインターフェロンの力価を測定した。対照培養に対してプラーク数が半減した試料の希釈倍数をインターフェロン力価(unit/ml)とした。使用した3種のマイトージェンの内,ConA刺激では細胞数1x10^7/mlの培養系に対して25μl/mlのConA添加で120時間培養後に最大のインターフェロン力価を示した。これらの条件下で産生されるインターフェロンは,NDVにより産生されるインターフェロンの性状と比較した場合,酸(pH2)および温度(56℃)に対して不安定であることからインターフェロンγ(IFN-γ)であろうと推定された。また,これらのリンパ球培養と同一条件下で培養した培養系におけるリンパ球幼若化反応をグルコース消費試験で測定した結果,インターフェロン産生能はリンパ球幼若化能と良く相関することが認められた。以上の成績より,ウシ末梢血のマイジェン刺激培養によるインターフェロン産生能の測定はウシの免疫機能評価の一手段として有効であると考えられた。
- 帯広畜産大学の論文
- 1992-07-31
著者
-
白幡 敏一
帯広畜産大学家畜微生物学教室
-
石川 濶
帯広畜産大学附属家畜病院
-
石川 潤
帯広畜産大学附属家畜病院
-
柴田 浩幸
帯広畜産大学畜産学部付属家畜病院
-
白幡 敏一
帯広畜産大学家畜微生物学
-
石川 潤
帯広畜産大学畜産学部附属家畜病院
-
石川 濶
帯広畜産大学獣医学科家畜内科学教室
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