免疫ならびに非免疫鶏気管培養法によるニューカッスル病ウイルスの増殖に関する研究

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ニューカッスル病は,その激しい伝播力と,感染によってひき起こされる鶏の損耗,産卵停止などによる被害の甚大な伝染病の一つである。本病ウイルスの侵入門戸は,主として鶏の気道粘膜と考えられることから,鼻腔,咽頭,喉頭,気管などの粘膜の免疫が重要であり,これに関して多方面から研究がなされている。本報は,これに関連して生ワクチン経鼻投与法,不活化ワクチン筋肉内注射法により免疫した鶏および無処置鶏の気管粘膜におけるウイルスの増殖に,どのような差異があるか否かを,1975年NEUMANN and KALETAにより報告された気管培養法を用いて検討し,さらに血中の中和抗体,HI抗体および気管粘液中の同抗体との関連についても検討して,以下の成績を得た。この気管培養法は,本ウイルス原液(10^<9.5>EID_<50>/0.1ml>の0.05mlを接種した場合に気管20%乳剤中のウイルス量は数回の反復実験において10^<5.5-6.5>EID_<50>/0.1mlを示し(表-1,2),ウイルスの定量法として十分に利用価値があることを知った。そのウイルスの増殖には気管粘液の存否がほとんど影響しないが(表-3),接種ウイルス量を10^<9.5>EID_<50>/mlの10^<-1>稀釈液0.05mlとした場合,生ワクチン免疫鶏由来の気管におけるウイルスの増殖は,無処置鶏および不活化ワクチン免疫鶏のそれと比較して,明らかに抑制され,log数で4程度の差がみられた。そして同ウイルス原液を10^<-2>以上に稀釈したものを接種した場合,生ワクチン免疫群でのウイルス増殖は完全に阻止された(表-4)。血中ならびに気管粘液中の中和抗体価,HI抗体価は不活化ワクチン群,生ワクチン群でそれほど大きな差異が認められないことから(表-5),生ワクチン免疫群に顕著なウイルス増殖抑制の原因は気管粘膜の局所免疫によるものと推測される。なお,気管内におけるウイルスの増殖曲線(図-1,2),またウイルス接種後の気管粘膜上皮繊毛細胞の表在性病変の状態を走査型電子顕微鏡で観察した(写真II,III)。しかし,これらに関しては,さらに,詳細な検討を必要とすることを考察した。
帯広畜産大学の論文
1977-11-25

免疫ならびに非免疫鶏気管培養法によるニューカッスル病ウイルスの増殖に関する研究

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