軽種馬牧場における子馬のロタウイルス感染のウイルス学的ならびに血清学的研究
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概要
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1983年4〜5月,北海道胆振支庁白老町の軽種馬牧場で集団発生した幼駒下痢症について,ウイルス学的,血清学的な研究を行った。発症した31頭のうち逆受身赤血球凝集反応(R-PHA)および電子顕微鏡観察法(EM法)によりロタウイルスを検出したのは、それぞれ17頭(55%)と16頭(53%)が陽性を示した。MA-104細胞によるウイルス分離では,下痢便31検体のうち9例(29%)に細胞変性効果をみとめ、これらは蛍光抗体法とEM法によりロタウイルスと同定された。またこれら分離ウイルスのポリアクリルアミドおよびアガロース・ポリアクリルアミド混合ゲル電気泳動によるウイルスRNAパターンを比軽検討したところ、各分離ウイルス株間に差をみとめることができなかった。幼駒下痢症の発生した牧場と、発生をみとめなかった牧場における子馬と母馬のロタウイルスに対する補体結合抗体価の季節変動を比較検討した。前者の牧場の母馬は後者の母馬と比較して血中抗体価のレベルが低く、子馬にも移行抗体がほとんどみとめられなかった。このためロタウイルスの伝播が容易となり、幼駒下痢症を引き起こしたものと考えられる。また下痢症の発生しなかった牧場の子馬は7月と11月間で抗体価と抗体保有率が急激に上昇したが、下痢症状を示す子馬はまったくみられなかった。
- 帯広畜産大学の論文
- 1988-06-30
著者
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今川 浩
日本中央競馬会競走馬総合研究所栃木支所
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後藤 仁
帯広畜産大学家畜微生物学教室
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後藤 仁
帯広畜産大学家畜微生物学
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秋田 博章
社台ファーム
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秋田 博章
社台ファーム早来
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後藤 仁
帯広畜産大学獣医学科家畜微生物学教室
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後藤 仁
家畜微生物学教室
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高橋 樹史
帯広畜産大学家畜微生物学教室
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林 誠也
社台ファーム
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尾形 重和
社台ファーム
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後藤 仁
帯広畜産大学
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