搾乳環境における緑膿菌の生態に関する研究
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概要
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乳および搾乳環境より257株の緑膿菌を分離Lanyiの標準型別血清により血清型別を行い, 分離された緑膿菌の生態について検討した.その結果の主なるものは次の通りであった.1.新鮮分房乳148検体のうち31検体, すなわち20.9%より緑膿菌が分離され, 8血清型(G1,G3,G4,G5,G6,G9,G10,G11)と未分類株に分類された.一方, 搾乳環境からは202株が分離され, 9血清型(G1,G3,G4,G5,G6,G7,G10,G11,G13)と未分類株に分類された.2.それぞれの搾乳環境から, 毎回緑膿菌は分離されたが, 新鮮分房乳からの分離状況には畜舎別に違いがみられた.すなわち, 毎回分離される畜舎, 分離されるときとされないときのある畜舎, それに毎回分離されない畜舎の3つのケースがあった.3.一畜舎内の複数牛の新鮮分房乳より特定の血清型の菌が分離されたケースがあり, 舎内感染が疑われた.この中で, 潜在性慢性感染と思われる興味ある1事例に遭遇した.4.土壌においては毎回ほぼ一定した血清型の菌が分離され, 安定した菌相を保っていると思われた.一方, 床においては毎回異った血清型が分離される場合が多く, 菌相は変化しているものと思われた.分離された緑膿菌の性状については次の結果が得られた.1)乳および搾乳環境より分離された緑膿菌のほとんどが10℃で発育を示し, 7℃で発育を示す低温性緑膿菌も少なからず存在していることが明らかにされた.新鮮分房乳からも7℃発育株が6株分離された.2)カゼイナーゼ活性の高い緑膿菌が, 潜在性慢性緑膿菌感染と思われた分房乳より分離された.
- 鹿児島大学の論文
- 1978-03-19
著者
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雨宮 淳三
Laboratory of Veterinary Public Health
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雨宮 淳三
獣医公衆衛生学教室
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高瀬 公三
Laboratory Of Veterinary Public Health
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佐藤 平二
Laboratory of Veterinary Public Health
-
佐藤 平二
家畜微生物学教室
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