高酸度焼酎醪における乳酸菌の螢光抗体法による検出について

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旧式焼酎醸造でとくに米麹生白糠仕込, 米麹米仕込などでは滴定酸度が上昇する高酸度醪が時折出現する.この高酸度醪は醪後半でよく出現し, しかも醪のグラム染色によるグラム陽性細菌数の増加と滴定酸度の増加が並行することがわかった.常法による乳酸菌の分離では生菌数が低いのでおだやかな分離方法を採用したところ, 試料によってはグラム陽性細菌数とほぼ同じ生菌数が得られた.これらの乳酸菌は同定の結果, ホモ型発酵を行うLactobacillus sakeおよびL.sake型のもの2型を含むL.sake群と, ヘテロ型乳酸菌のL.brevisであった.ただ, 醪中の乳酸菌生菌数と総菌数との関連を一層よく証明するため, 米麹生白糠仕込醪の乳酸菌代表株を用い免疫血清を作製し, これに螢光色素を標識して螢光抗体を調製した.まず, 米麹白生糠仕込醪の乳酸菌および今回の分離乳酸菌の免疫学的な関係を明らかにするため凝集反応を行った.L.sakeは少なくとも2群以上の凝集反応のパターンを有し, L.brevisはL.brevisの免疫血清に対しては均一であるが, L.sakeの免疫血清に対しては少なくとも3群を区別できた.有胞子細菌はいずれの免疫血清をも凝集はおこらず, 螢光抗体で染まらないことが証明された.以上から2種のL.sakeの螢光抗体で染色されるものはほぼ乳酸菌の全菌数にあたると判断してよく, ただL.brevisの螢光抗体で染色される菌数が多い時はこの菌数を乳酸菌数とするのがよいと判断できた.2種のL.sakeの螢光抗体と2種のL.brevisの螢光抗体とで焼酎醪を染色したところ, 醪のグラム染色によるグラム陽性細菌数と螢光抗体染色による乳酸菌とがほぼ一致したので, 高酸度醪の高酸度が乳酸菌によるものであるとの証明が確実となった.
鹿児島大学の論文
1983-03-15

高酸度焼酎醪における乳酸菌の螢光抗体法による検出について

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