と畜場での乳牛におけるCandida属真菌の分布

概要

論文の詳細を見る
Candida性乳房炎の発生要因を検討するため, 廃用乳牛の乳腺, 腟, 鼻腔, 皮膚, および, 糞におけるCandida属の分布を調ベた.乳腺からのCandida属の検出率は, 158の正常分房中46%, 69の乳房炎罹患分房中52%と高く, 両者には差違が認められなかった.分離された菌種についてみると, 正常分房ではC.guilliermondiiやC.parapsilosisが, 乳房炎罹患分房ではC.albicansやC.tropicalisが, それぞれ他方より高頻度に検出され, C.kruseiは両者からともに高頻度に分離された.これらのことは, 肉眼的に正常な乳腺組織にも, 菌数が少ないとはいえ, Candida属が常在しており, Candida性乳房炎が自発性感染性であることを裏付けるものとなる.乳腺以外の部位からのCandida属の検出率は, 30〜50%で, 検出された菌種も乳腺から検出された菌種の範囲にあった.しかしながら, 各部位により主要な菌種は多少異なり, 個体別にみても乳腺と同一菌種が他の部位で検出されるとは限らなかった.このことは, 各部位の生理的条件が異なることによるものと考えられる.
鹿児島大学の論文
1988-03-15