Pythium gracileによる馬の顆粒性皮膚炎について
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概要
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馬の顆粒性皮膚炎の症例より分離されPythium gracileと同定された菌の動物接種試験を行い第1群で皮下, 第2群で筋肉内および腹腔内, 第3群で筋肉内, 第4群で腹腔内, 第5群で心臓内に接種した.第1群では主に膿瘍の形成がみられたが, 他のいずれの群でも真菌性の中心部壊死を伴う肉芽性病巣を接種部位および遠隔の臓器に認めた.病巣は組織学的に中心部の滲出性の壊死部とそれを囲む肉芽組織からなり, 特殊性炎の像を示した.真菌は主に中心壊死部に認められた.また, 大動脈における肉芽形成は本実験に特徴的なことであり, 第2群, 第3群に認められた.その他, 肝臓, 胃, 腸, 腎臓等にも真菌による病変がみられた.よってPythium gracileが単独で家兎に病原性を示すことが実験的に確かめられた.そしてこの家兎の病理組織像は自然発生の馬の皮膚炎の組織像に極めてよく類似していた.以上より広義の馬の顆粒性皮膚炎の中にPythium gracileによる皮膚炎が存在することが確認された.それはまたPythium gracileを起因菌とする馬のSubcutaneous phycomycosisの存在することを示したものである.
- 鹿児島大学の論文
- 1982-03-19
著者
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