ブロイラー農場の疾病調査 : II.大腸菌症

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鹿児島県内の一ブロイラー農場について, 大腸菌症の発生状況を調べた.淘汰鶏216羽中19%が大腸菌症であり, 大腸菌陽性例のうち, 肝包膜炎(53%), 心嚢炎と腹水症(33%), 遺残卵黄と腎病変(約20%)が主な肉眼的病変であった.罹患率は, 4週齢以降急増して20〜35%の範囲で推移し, 1週間隔で入雛される各群の4〜8週齢の平均罹患率は, 15,26,29%と順次高率になった.入雛時期別の陽性率は8〜37%の範囲で変動したが, 季節性はとくに認められなかった.分離した44菌株のうち, アドニット陽性株が4株あり, その中の血清抵抗性を調べた3株はいずれも抵抗性であった.また, 非運動性が13株あったが, 抵抗性株と非抵抗性株の割合は等しく, 運動性株の両者の割合との違いはなかった.血清型O78に該当する菌株はなかったが, O1とO2型が各5株ずつあった.これらの8株中6株は感受性株であり, 抵抗性株は2株のみであった.薬剤感受性を調べた253菌株は, 6種の抗菌剤のいずれかに耐性であり, 3剤以上の多剤耐性株が80%(172株)を占めた.プラスミド保有率は68%であり, そのうち複数の薬剤耐性を伝達したものが65%(111株)を占めた.薬剤別にみると, SDM, TC, SMの3剤は80%以上が耐性株であり, 耐性株中のプラスミド保有率はABPCが73%と最も高く, ついでSDM57%, KM50%であった.
鹿児島大学の論文
1992-03-30

ブロイラー農場の疾病調査 : II.大腸菌症

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