Staphylococcus aureus L-Formsの生物学的性状および病原性に関する研究
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概要
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Staphylococcus aureusのL型を誘導し, その生物学的性状および病原性を調べ, 以下のような成績が得られた.1.メチシリンSまたはペニシリンGKを誘導剤として, 供試24株より, 培地上で4株, マウス体内で3株のL型を誘導した.培地誘導株のうち2株はstable L型となった.マウス体内で誘導されたL型は2代目以降の培地継代は出来なかった.2.L型の生物学的性状は, 親株の性状を失うものが多かった.stable L型は, unstable L型にくらべて喪失する性状が多い.L型からの復帰株は親株の性状を回復するが, 溶血性は全4株共, L型化により陰転したままで, 復帰株も陰性であった.3.L型化に伴い, 抗生物質に対する感受性も変化したが, 今回の実験では親株に比較して感受性が低下する傾向がみられた.4.L型では親株にくらべて, 菌体核酸の量が増加するが, それはRNAの著明な増加によるものである.透析培養を行ったL型菌液の遠心上清には多量の核酸が遊離していた.5.親株とL型による交叉凝集反応の結果では, 概ね特異的反応がみられたが, 抗親株血清はL型凝集原に対しては反応性が弱く, 特異性も低かった.6.L型のマウスに対する病原性は認め難かったが, L型を接種されたウサギでは, 若干の臨床的変化と病理組織学的変化がみられた.
- 1987-03-16
著者
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