肝硬変症における骨髄像の検討 : 脾臓の骨髄に及ぼす影響

概要

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肝硬変症27例を,未処置群(16例),脾摘群(7例),脾動脈塞栓術群(4例)に分類し,ITP (9例)を対照として,血小板数および骨随像について検討した。(1)肝硬変症の骨随有核細胞数および巨核球数は,末処置群: 20.0±20.6×10^4, 67±55.0/μl,脾摘群: 10.6±4.8×10^4, 35±21.1/μl,脾動脈塞栓術群: 11.4±4.9×10^4, 70±50.2/μlで,正常ないしは低値を示した。ITPは,各々23.6±6.1×10^4, 245±91.3/μlで,巨核球数の著明な増多を示し,これは肝硬変症に比較して有意に多かった。(2)未処置群およびITPの血小板生成率は,各々15.0±9.9%, 14.0±8.5%で,生成率が極めて低かった。(3)脾摘群は未処置群に比較して,血小板数,血小板生成率とも,また脾動脈塞栓術群は血小板生成率のみ有意に多かった。(4)脾摘および脾動脈塞栓術の前後で検討した5例の血小板数および血小板生成率は,有意に増加した。これらのことから,肝硬変症例の脾臓は何らかの骨髄抑制機能を有することが示唆された。
北里大学の論文
1986-10-31