消化管出血の臨床統計

概要

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8年3か月間(1971年7月〜1979年10月)に北里大学に入院した消化管出血例について種々の分析を行ない,以下の結果を得た。1)性別頻度は男性850人,女性407人で男性に多かった。年令別頻度は60才代,50才代,40才代の順で中年〜高令者に多かった。2)上部消化管の主な出血源は,胃潰瘍,十二指腸潰瘍,胃癌,食道・胃静脈瘤などで,下部消化管では,大腸癌,痔核・裂肛,潰瘍性大腸炎などであった。3)悪性腫瘍を除く,上部消化管出血例の38.9%に誘因が認められたが,薬剤(消炎鎮痛剤,ステロイドなど)がもっとも多く(78),次いで精神的ストレス(41),飲酒(33),脳血管障害・頭部外傷(20)の順であった。4)出血源診断手技は,内視鏡がもっとも多かった。血管造影検査は,食道・胃静脈瘤,小腸疾患で多用されているが,特に後者の出血源診断には有用な検査である。出血シンチは一部の出血例を除いては,現在のところ出血源診断には余り有用ではない。この他,顕出血別頻度や出血関連疾患別頻度,疾患別出血率などについて述べる。
北里大学の論文
1981-06-30