北里大学外科における肝,胆道,膵悪性腫瘍の臨床的検討

概要

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北里大学外科で1971年7月から1984年12月までに扱った肝,胆道,膵の悪性腫瘍について集計し臨床的検討を加えた。この間の症例数は,肝,胆嚢,肝外胆管,乳頭部,膵でそれぞれ103,59,50,21,88例であり,合計321例であった。肝では,肝細胞癌(HCC),胆管細胞癌(CCC),肝芽腫(HBL),その他がそれぞれ82,12,6,3例であった。HCCでは肝硬変(LC)の有無によって切除率や予後に大きな違いがあり,HCCの3/4を占めるLC+群で成績が悪かった。今後治療成績を向上させるには,LC+例の対策が重要である。胆嚢では切除率は50%であったが,比較的早期のもののみが切除後長期生存を得ており,早期発見と早期手術が最も大切と思われた。肝外胆管では,その解剖学的条件から姑息的手術に終わるものも少なくないが,それでも比較的長期生存の例もあるので,積極的手術が望まれる。乳頭部では切除率は比較的高いので,充分なリンパ節郭清を含めた根治性の高い手術をして再発を少なくすることが大切であると考えられる。膵では切除率が20%と極めて悪く,予後も良くなかった。今後は早期診断と拡大手術の両面から対処し,成績向上に努力する必要がある。
北里大学の論文
1988-08-31