加熱による両性界面活性剤の細菌胞子に対する殺菌活性促進効果 : 微生物の加熱損傷に対する薬剤併用効果(IV)
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概要
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著者らは食品変敗微生物の抑制手段としての薬剤と加熱の併用処理効果について検討してきたが, 今回は耐熱性, 耐薬剤性の点で最も問題となる細菌胞子を対象に, 薬剤の一モデルとして効果のあった両性界面活性剤(テゴ15DL)の加熱併用効果について調べた.0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)中のBacillus subtilis var.niger胞子を80℃で60分間加熱してもほとんど死滅は認められないが, 100μg/mlの濃度のテゴが存在すると同じ加熱条件下で生菌数は約1/10^5に低下した.テゴの胞子殺菌活性は常温ではほとんどないが, 40℃以上になると有意の活性が現れた.テゴは加熱中, 死滅菌と損傷菌の割合を増加させるとともに, 260nm吸収物質, 蛋白質, オルシノール反応陽性物質, ジピコリン酸の漏出を促進したことから, 加熱との協同作用により胞子表層に障害を与えるものとみられる.微生物に対する薬剤の加熱併用効果の作用型式として, (1)加熱中の損傷および死滅に対する促進作用(加熱時の作用), (2)損傷からの回復に対する阻害作用(回復時の作用), (3)加熱による何らかの副次的因子による結果としての回復後の増殖に対する抑制作用(増殖時の作用)の三つの要因を提示し, 本研究結果からテゴの加熱併用効果は主に第一の要因に基づくものと考えられた.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1975-12-25
著者
-
芝崎 勲
阪大工
-
土戸 哲明
関西大・工・生物工
-
土戸 哲明
大阪大学 工学部 醗酵工学科
-
神田 かよみ
大阪大学 工学部 醗酵工学科
-
芝崎 勲
大阪大学 工学部 醗酵工学科
-
土戸 哲明
大阪大学 工
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