花粉粒の胚形成機構に関する研究 : 第7報タバコ葯培養における花粉粒の分裂および幼植物体形成に対する培地内各種糖類の効果

概要

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タバコ(Nicotiana tabacum L. cv. Bright Yellow, 2n=48)の葯培養における培地内各種糖類の有効性について検討した。1. 12種の糖を1/10M(うち2種は3%)濃度で培地に添加したところ,植物体再分化に対して各培地間で顕著な差が認められた。果糖,ブドウ糖,麦芽糖,および蔗糖培地では高頻度で再分化が認められ,その多くが正常な発育を示した。マンノースおよびラフィノース培地では再分化率が高く,再分化個体数も非常に多かったが,植物体の発育が不良であった。キシロース,乳糖,デキストリン,および澱粉培地では再分化率が低く,再分化個体の多くが奇形を示した。一方,アラビノースおよびガラクトース培地では全く再分化が認められなかった。2. 7種の糖,マンニトール,および炭水化物無添加培地について花粉粒の分裂状況を調査したところ,培養20日目にはガラクトース培地でも比較的低頻度ながら,ラフィノース培地では高頻度で7核以上の分裂花粉粒が観察された。また,培養10日目の3-6核性の分裂粒はマンニトール培地では比較的高頻度で,炭水化物無添加培地でも低頻度ながら観察された。このことから,培養のごく初期には糖類は必須ではなく,主に浸透圧調節に関与していることが示唆される。3. マンノース,麦芽糖,蔗糖,およびラフィノースを1/128-1/4Mの濃度で培地に添加したところ,再分化率は3種の糖では1/8M添加時に最も高い値を示したが,麦芽糖では1/4Mでより高い値となった。また,再分化植物体数は麦芽糖および蔗糖では1/16Mで,マンノースおよびラフィノースでは1/8Mで最も多くなった。このことから,植物体再分化に対してより有効的なモル濃度が,糖により異なる可能性が示唆される。
神戸大学の論文
1993-01-30

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