イネの矮性遺伝子の発現機構に関する考察 (I) : ジベレリン酸に対する反応と体内ジベレリン様物質の存在について
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概要
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1). 30の大黒型矮性稲, 38のその他の矮性稲および24の正常稲の3群計92の品種, 系統を用いて, GA_3に対する反応性を調べた。各群間のみならず群内でも反応性に差異がみられた。正常稲およびその他の矮性稲では, 第2葉鞘長とGA_3反応度との間に有意な負の相関があったが, 大黒型矮性稲ではむしろ第2葉鞘の長いものほどGA_3によく反応する傾向がみられた。2). 同じ矮性遺伝子に支配されている矮性稲でも反応に著しい差があった。したがって, GA_3に対する反応性は矮性遺伝子そのものによって支配されているとは考えられなかった。3). 矮性稲である三系10号と小丈玉錦, および正常稲である綾錦と玉錦の葉身からのアセトン抽出物をペーパークロマトグラフィで展開し, 短銀坊主と小丈玉錦に処理したところ, 前者は三系10号をのぞく3品種の抽出物に反応した。しかし, 小丈玉錦は4品種の抽出物に対して全く反応を示さなかった。小丈玉錦はGA_3によく反応するので, 短銀坊主を用いたときみられるジベレリン様物質の活性はGA_3によるものとは考えられなかった。4). 三系10号では幼苗期と同様に, 稈の伸長期にも稈および葉身からジベレリン様物質の活性は検出できなかった。一方小丈玉錦には常に正常稲と同じくらい体内ジベレリン様物質が存在した。5). 以上の結果, イネの矮性化の原因を, GA_3や体内ジベレリン様物質の含量で説明することは困難なものが多いことがわかった。
- 神戸大学の論文
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