矮性稲の特性と分類 (III) : 出穂までの日数と稈長,伸長節間数および節間長の相互関係

概要

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1) 33の大黒型矮性稲, 43のその他の矮性稲, および22の正常稲を用いて, 出穂までの日数, 稈長, 伸長節間数および各節間数の間の相互関係を解析し, 矮性稲の生育特徴を出穂までの日数との関係で明らかにしようと試みた。2) 正常稲とその他の矮性稲では, 出穂までの日数と稈長との間に有意な相関が認められたが, その他の矮性稲ではd_6型の2品種を含めると相関はやや低かった。大黒型矮性稲では, 二遺伝子劣性の3系統を含めると相関は有意にならなかったが, これらをのぞくとわずかな相関が認められた。3) 3群とも出穂までの日数が多い品種は少ないものにくらべて伸長節間数が多い傾向が明らかであり, また伸長節間数と稈長との間にも有意な相関があった。4) 出穂までの日数に対する稈長, および伸長節間数に対する稈長の回帰係数はいずれも正常稲で大きく, 矮性稲, とくに大黒型矮性稲で小さかった。しかし出穂までの日数に対する伸長節間数の回帰係数はむしろ大黒型矮性稲で大きかった。5) 一般に出穂までの日数と伸長節間数, および稈長と伸長節間数との間の偏相関係数は有意であったが, 出穂までの日数と稈長とのそれは有意でなかった。また, のこりの節間を含めて基部の3節間長は出穂までの日数および伸長節間数と有意な相関関係にあった。したがって出穂までの日数が多い品種・系統で稈が長くなる1つの理由は, 下位節間が伸び, これにともなって伸長節間数が増加するためと考えられる。さらに正常稲では第1節間も著しく伸長すること, その他の矮性稲ではd_6型をのぞくと第2,第3節間もやや伸長することが大きく関与していると思われた。その他の矮性稲では第1節間長は伸長節間数とまったく関連がなかった。また大黒型矮性稲では, 出穂までの日数が多くなっても上位節間が長くなるとは限らなかった。6) 正常稲と矮性稲で, 出穂までの日数がほぼ同じ品種・系統どおしを比較すれば, 一般に後者の稈は前者より短かく, 出穂までの日数を考慮すれば両者の差異はかなり明確になることがわかった。
神戸大学の論文

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