イネの準同質遺伝子系統における胚内器官の大きさと細胞形質に及ぼす優性遺伝子の影響

概要

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本研究は,イネの完熟種子胚の諸形質に矮性遺伝子がいかなる影響を及ぼすかを明らかにするために行った.材料として,品種「しおかり」と,これを遺伝的背景とする19の矮性準同質遺伝子系統の計20系統を用いた.実験は,1982年と1983年に行い,1982年には「しおかり」を含む19系統を,1983年には前年調査できなかった1系統(d11-系統)を含む9系統を使用した.パラフィン包埋法により,各系統の胚の縦切片を作成し,以下の項目を調査した.すなわち,胚及び胚内器官の大きさに関する形質として,胚全体の長さと幅,子葉鞘・の長さ,幅及び内周と外周の長さ,次らびに幼根の長さ,幅及び周囲の長さを測定した.さらに,細胞形質として,子葉鞘の内側及び外側の表皮ならびに幼根の表皮及び柔組織における細胞長と,これら各組織の一層の細胞数を調べた(Fig1及びFig.2). 両年度にわたって使用した8系統について各形質値の年度間の関係をみたところ,相関係数は,調査した17形質すべてにおいて正となり,子葉鞘長,子葉鞘の内側表皮細胞長,幼根の周囲の長さなど数秒質を除き,いずれも有意であった(Table3).したがって,得られたデータの信頼度は高いものと考えられた。
日本育種学会の論文
1985-09-01