矮性稲の栽培育種学的意義 (2) : 矮性稲の生産性

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埼玉で3つの大黒型矮性稲および4つの人為突然変異系統を含む11の矮性稲と, 3品種の正常稲を用いて, それらの収量構成要素と一株収量を調査した。大黒型矮性稲と人為突然変異系統は, 1000粒重, 稔実率, 一穂籾数のうち2つ以上が正常稲に比べてきわめて劣るために低収であった。残りの4品種・系統では, 主として一穂籾数が少ないために正常稲より収量が低かった。上記の調査によって, 矮性稲としては比較的高収を上げ得ると思われた置賜2号, 三系10号, 短銀坊主, 小丈玉錦, M148と, 正常稲3品種を用いて, 千葉で窒素施用量を変えて早期栽培を行ない, それらの生産性を検討した。矮性稲の収量は正常稲にくらべて, 埼玉より千葉で増大する傾向がみられ, 置賜2号は標準区, 増肥区の両区でまた三系10号は増肥区で正常稲3品種より高収であった。またこれらの2系統は増肥により増収する傾向があった。短銀坊主の収量は正常稲と大差がみられず, 小丈玉錦, M148は両区とも収量が低かった。千葉での早期栽培および増肥による矮性稲の増収の程度は, M148を除けば穂数の増加の程度とほぼ対応していた。以上のことから, 矮性稲でも栽培条件によっては高収を上げ得ることが明らかにされ, これらを育種素材として利用することは可能であると考えられた。
神戸大学の論文

矮性稲の栽培育種学的意義 (2) : 矮性稲の生産性

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