イネ矮性同質遺伝子系統の形質発現 II. 第3節間柔細胞の分裂と伸長に対するd_2遺伝子の作用
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概要
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1. 台中65号(T65)とその遺伝的背景にd_2遺伝子を含む矮性同質遺伝子系統(T65d_2)を用いて, 第3節間の分化初期から, その伸長とそれに伴う節間柔細胞の数と長さの変化を調べ, この節間における遺伝子の発現時期とその細胞レベルヘの作用を明らかにしようと試みた。2. T65d_2の最終節間長はT65のそれより明らかに短く, その原因は細胞数が少なくかつ細胞長も短いためであった。3. 両系統とも, 節間に随腔が形成されるまでの発育初期では, 節間長, 細胞長及び細胞数の増大はいずれも極めてゆるやかで, この期間における諸形質値に系統間差異はほとんど認められなかった。しかし, 随腔形成後には, いずれの系統もまず細胞数が著しく増加し始め, 次いで急速な細胞伸長が起こり, その結果節間の急速な伸長がみられるようになった。しかし, T65d_2のそれらの程度はいずれもT65より低かった。4. T65d_2の第3節間分化期はT65よりやや遅れるものと思われたが, それに伴って節間伸長停止時期も遅れていたので, この節間の伸長期間には両系統で差異はないものと推察された。5. 以上のことから, d_2遺伝子の著しい作用は節間にintercalary meristemが分化してから発現し, 単位時間当たりの細胞分裂数と細胞伸長とを正常系統より低下させることによって, 節間の短縮をもたらすものと考えられた。
- 神戸大学の論文
- 1985-01-31
著者
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