イネ矮性同質遺伝子系統の形質発現.I : 穂,節間および葉の伸長に及ぼすd_2遺伝子の影響(園芸農学)
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概要
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1. 台中65号(T65)の遺伝的背景の中にd_2遺伝子を含む矮性同質遺伝子系統(T65d_2)を用いて, この遺伝子が穂, 上位4節間および上位3葉の葉身と葉鞘の長さに及ぼす影響を調べた。2. d_2遺伝子は第2節間をT65のそれの約2%に, その他の節間を47∿64%に短縮していた。また, この遺伝子は, 上位3枚の葉の葉身と葉鞘の長さを, T65の70∿80%に短縮した。しかし, 穂長には系統間差異が認められなかった。3. 1と同じ材料を用い, 穂, 上位4節間および止葉の葉身と葉鞘の長さの経時的な測定値に, ロジスチック曲線をあてはめて, これらの器官の伸長様式を系統間で比較した。その結果, T65d_2の穂と止葉葉身を除く諸器官はその生長率が著しく小さいために, また, 止葉葉身はその伸長期間が短いために, 穂を除く諸器官の最終的な長さはT65に比べて短くなることがわかった。穂でも, その生長率はT65d_2がT65よりかなり小さかったが, 前者の穂の伸長期間は後者のそれより長いために, 伸長完了後の穂長は両系統ともほぼ同じになった。これらのことは, d_2遺伝子が諸器官の最終的な長さを短縮する原因は器官によって異なる場合のあること, また, ある器官の最終的な長さに系統間差異が認められなくても, その伸長過程にd_2遺伝子は何らかの作用を発現している場合のあることを示しているものと考えられた。4. 各器官の伸長時期の相互関係は, T65d_2の第2節間を除いて, 従来知られているそれと同様であった。T65d_2の第2節間は, それが分化する時期は正常であったが, 伸長開始期と伸長完了期がともに著しく早かった。
- 神戸大学の論文
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