花粉粒の胚形成機構に関する研究.第6報 : Nicotiana rustica及びその祖先種 N. paniculata, N. undulata における葯培養
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1) 栽培タバコの1種であるN. rusticaとその祖先種であるとされているN. paniculata及びN. undulataで葯培養を行い, これらの種間における花粉粒の分裂能及び植物体形成能の相違を比較検討した。2) 3種の中ではN. paniculataとN. undulataの両ゲノムの複二倍体起源であるN. rusticaで植物体形成率が顕著に高かった。また, 培養葯内部花粉粒の調査から, N. rusticaにおいては培養2週間目から多細胞化花粉粒の出現率が増加したのに対し, 両祖先種では枯死粒が多く, 培養3週間目になって少数の多細胞化花粉粒が認められたにとどまった。3) 供試3種における最適培養法をみいだすために, 低温前処理と活性炭及びL-グルタミンの添加を組合せてその効果を検討したところ, N. rusticaでは無処理で活性炭を除去した基本培地に置床した場合にも30%を越える植物体形成率が得られた。低温前処理及び両添加物の添加培地を組合せた場合には, 90%以上の葯で花粉粒からの形態形成がみられた。しかし, 処理区では茎葉が肥厚して根の発育の悪い異常植物体の割合が高い傾向も認められた。4) N. paniculataではすべての処理を組合せた区で植物体形成が顕著に促進され, 10.8%の形成率にまで増加させることができた。5) 今まで成功例の報告されていないN. undulataでは, N. paniculataよりもさらに低い植物体形成率を示すにとどまったが, すべての処理を組合せた区で3.3%の値を得ることができた。6) 以上のようにN. rusticaの場合もN. tabacumと同様に, 祖先種よりも顕著に高い植物体形成能を有していることが判明した。これは, N. rusticaが両祖先種のゲノムを併有する複二倍体であることに起因するのではないかと推察される。
- 神戸大学の論文
- 1985-01-31
著者
関連論文
- P-18 F_1由来倍加半数体系統を用いたイネ耐塩性の評価(日本作物学会第226回講演会)
- P-24 イネの光合成能力改良に向けたイネ科植物内における高k_Rubiscoの探索(日本作物学会第226回講演会)
- P-40 油料作物Jatropha curcasの組織培養による増殖と脂質定量(日本作物学会第226回講演会)
- P-39 丹波黒大豆'兵系黒3号'の成熟培養における,糖とアミノ酸の効果(日本作物学会第226回講演会)
- イネ葯培養における低温保存穂へのコルヒチン前処理の効果
- 四倍性Solanum tuberosum L.とS. acauleニゲノム性半数体系統との体細胞雑種の特性
- Random amplified polymorphic DNA (RAPD) 分析法のアズキとその近縁属への適用
- アズキとケツルアズキの細胞融合カルスからの植物体再分化
- トマトの胚軸組織切片の頂芽側における高頻度の二倍体再生
- 花粉粒の胚形成機構に関する研究 : 第7報 タバコ葯培養における花粉粒の分裂および幼植物体形成に対する培地内各種糖類の効果
- コムギの未熟胚培養におけるカゼイン加水分解物の添加効果
- イネ葯培養における培地へのアミノ酸およびカゼイン加水分解物の添加効果
- Solanum acaule の葯培養における花粉カルス形成に関わる要因
- イネ第1葉の細胞長と細胞数に及ぼす矮性遺伝子の影響
- 日本及び中国のコムギ品種における未熟胚培養
- コムギの未熟胚培養におけるカゼイン加水分解物の効果
- イネ葯培養における植物ホルモンおよびアミノ酸の効果
- RAPD分析により評価した在来アズキ系統の遺伝的多様性
- 農業形質から評価した在来アズキ系統の遺伝的多様性
- チェコで開催された国際植物組織細胞培養シンポジウムに出席して
- 花粉粒の胚形成機構に関する研究.第6報 : Nicotiana rustica及びその祖先種 N. paniculata, N. undulata における葯培養
- 成長点培養によるバレイショのウイルス無毒化に関する研究第1報 : 成長点組織の幼植物分化に影響する若干の要因と分化植物のウイルス無毒化
- 花粉粒の胚形成機構に関する研究 第5報 : タバコおよびその祖先種の葯培養におけるゲノム構成,倍数性レベルならびに細胞質の影響
- 花粉粒の胚形成機構に関する研究 : 第 4 報 in vivo 及び in vitro のタバコ葯における組織化学的比較(園芸農学)
- 兵庫県の稲作と米 : 伝統と新たな展開
- バレイショ近縁種における種の分化 : ・メキシコ産2倍程8.0鮒2κ05舳に対する南米産2倍種数種のゲノム類縁関係
- 花粉粒の胚形成機構に関する研究 : 第 3 報 異なる蔗糖濃度に対するタバコ葯培養花粉粒の分裂反応性及び胚状体形成過程(園芸農学)
- 花粉粒の胚形成機構に関する研究 (第2報) : タバコ葯培養における幼植物形成に対する各種糖類濃度の効果(園芸農学)
- バレイショ近縁種における種の分化 : IX.メキツコ産2倍性近縁種相互間のゲノム類縁関係
- 花粉粒の胚形成機構に関する研究 (第1報) : タバコの培養葯内花粉粒の分裂に対する培地諸成分の個別的効果(園芸農学)
- コムギの未熟胚培養における植物生長調整物質の効果
- 花粉粒の胚形成機構に関する研究 : 第8報 タバコの花粉起源植物体の形成におけるNa2EDTAの役割
- イネにおける葉緑体型ホスホグリセリン酸ムターゼOsPGMd2の機能解析
- イネ葯培養における低温保存穂のコルヒチン前処理による倍加個体の効率的誘起
- 花粉粒の胚形成機構に関する研究-4-in vivo及びin vitroのタバコ葯における組織化学的比較
- 新規なCCTドメインタンパク質OsCCT1は高CO_2環境への代謝的・形態的応答に関係している
- イネにおけるプラスチド局在型エノラーゼ遺伝子の機能解析
- 幼苗期におけるインディカイネの交雑親と倍加半数体系統群の耐塩性比較
- 高CO_2条件で発現促進される受容体型キナーゼOsTPK1の機能解析
- オオムギ Rubisco activase の高発現がイネの光合成特性と葉内成分含量におよぼす効果