3次元ゴアデザインによるスーパープレッシャー気球の開発
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概要
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我々は, 大重量の観測器を搭載して長時間飛翔可能なスーパープレッシャー気球を実現するための新しい気球設計法を提案し, 1998年よりこの概念に基づいた気球の開発を行ってきた。本設計法の特徴は, パンプキン気球をベースにし, その補強ロープの間にフィルムの伸びに依存することなく, 周方向に大きなふくらみを形成することで皮膜張力の大幅な減少をはかることにある。このような3次元形状のふくらみはゴアのサイドにしわを寄せながら短縮して補強ロープに固定することにより達成される。さらに, 子午線方向には皮膜を余らせることにより張力を発生させないことが重要である。このように気球を設計することにより, 気球の耐圧特性は飛躍的に増し, かつその大きさに依存しないことになる。この設計法を実証するために, 直径3mのモデルを用いた破壊試験がすでに行われており, その有効性が実証されている。その後, より容積の大きい本格的なスーパープレッシャー気球を製作し, 屋内膨張試験を行い, 気球製造上の問題点を洗い出した。さらに, 1999年5月15日, 容積3100立方メートルの気球を実際に飛翔させることに成功し, 高度19.2kmにおいて大気圧の20%の圧力差をもってスーパープレッシャー気球となった。そして, バラストを投下して高度を上げることにより, 高度21.6kmにおいて, 大気圧の64%の圧力に耐えられることを確認した。一連の試験結果は新設計法の有効性が理論どおりであることを実証した。
- 宇宙航空研究開発機構の論文
著者
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本田 秀之
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部
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太田 茂雄
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部
-
井筒 直樹
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所
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井筒 直樹
宇宙科学研究所
-
松嶋 清穂
藤倉航装(株)
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矢島 信之
宇宙科学研究所
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太田 茂雄
宇宙科学研究所
-
本田 秀之
宇宙科学研究所
-
松島 清穂
藤倉航装
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松島 清穂
藤倉航装株式会社
-
矢島 信之
宇宙航空研究開発機構
-
太田 茂雄
宇宙科学研究所気球工学部門
-
松島 清穂
藤倉航装(株)
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井筒 直樹
JAXA
-
黒河 治久
工業技術院機械技術研究所
-
黒河 治久
機械技研
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太田 茂雄
宇宙科学研
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