スカンジナビア北部の成層圏における温室効果気体の鉛直分布

概要

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北極域の成層圏におけるCO_2,CH_4,N_2O濃度やハロカーボン類の濃度の鉛直分布を明らかにするために, 1997年2月22日と3月18日にスウェーデンのキルナ近郊にあるエスレンジ観測所から大気球に搭載されたクライオジェニックサンプラーを飛揚し, 大気採集実験を行った。実験は2回とも成功し, 高度10kmから28.1km間の11地点で大気を採集し, 日本に持ち帰り精度の高い分析を行った。その結果, 各種の気体の濃度は日本上空でこれまでに観測された値に比べ全体に低く, 各種濃度の鉛直勾配は日本のものよりも大きかった。このことは, 赤道上のさかんな対流によって成層圏に注入された対流圏の空気塊が, 成層圏では下層ほど早く極域に輸送されており, 極渦内部での非断熱沈降にともなう下降流によって, 各種大気微量成分の濃度が圧縮されることを示唆している。極渦内の大気が対流圏から運ばれてそこに至るまでに要した時間は, CO_2濃度によって4∿5年と推定された。極渦内でも日本上空でもCH_4とN_2Oの濃度はきわめて良い相関にあることがわかったが, 両者の関係は場所によって異なっており, ことことは空気塊がそこに至るまでに経験した光化学反応の違いを反映している。
宇宙航空研究開発機構の論文

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