温州ミカンの貯蔵臭に関する研究(第2報)
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概要
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貯蔵臭の原因物質を明らかにするため,ストレート果汁および還元果汁を40°Cで貯蔵し,内部標準法により香気成分を経時的に定量した.低沸点成分の分析にはヘッドスペース法を用い,より沸点の高い成分の分析には減圧蒸留-抽出法を用いた. その結果,低沸点成分ではアセトアルデヒド,ジメチルスルフィド,アセトン,メタノール,エタノールが同定され,ジメチルスルフィドのみが貯蔵中に急激に増加した.これは,とくに精油含有量の低い果汁において官能的に重要であった.一方,より沸点の高い成分ではβ-ピネン,シトロネラール,リナロール, β-エレメン,ゲラニルアセテートおよび数種の含酸素テルペンの大幅な減少と,フルフラール,テルピネン-4-チオール, β-テルピネオール, α-テルピネオールおよびフェンチルアルコールの増加が認められた.カビ臭のテルピネン-4-オール, β-テルピネオール, α-テルピネオールおよびフェンチルアルコールを貯蔵臭成分と考えた.とりわけ,フェンチルアルコールは,最も重要な貯蔵臭成分であり,初めて報告されるものである. 果汁中のフルフラール含量は,貯蔵期間とともに増加していくことから,貯蔵臭の程度を示す指標として温州ミカン果汁にも適用することが可能であることが示唆された.
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