無農薬バナナにおけるポストハーベスト病害の病徴とそれらに関係する菌類

概要

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近年, 消費者の無農薬栽培食品指向の高まりに伴い, 無農薬バナナの輸入が増大している.しかしながら, しばしば果実腐敗が発生し, 消費者に届く以前に廃棄されるものが多く, 問題になっている.そこで1997年12月から1998年7月にかけて, フィリピン産無農薬バナナにおける病徴観察とそれに関連する菌類の属の同定を経時的に行った.その結果, crown rot(86%), anthracnose(83%), freckle(71%), finger stalk rot(56%), finger rot(11%)およびfinger end rot(3%)の症状が認められ, それらから25属の菌類が検出された.発生頻度はFusarium属菌が一番多く(49%), つづいて, Colletotrichum属およびPenicillium属(各8%), Verticillium属(7%), Cylindrocarpon属(5%), Cladosporium属およびGlomerella属(各4%), Thielaviopsis属, Pestalotiopsis属, Lasiodiplodia属, Phoma属(各3%), Phomopsis属およびAspergillus属(各1%)であり, その他の属は1%未満であった.Colletotrichum属およびGlomerella属は, 炭疽病病斑から分離され, Phyllosticta属は斑点性病斑上で観察された.無農薬バナナ上での菌類の優占性においては, 季節的な影響は見られなかった.
2000-06-01