マツ類およびアカエゾマツの植木に発生したぺスタロチア葉枯病

概要

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1996年夏から1997年春に茨城・岩手両県下で採集したマツ属3種、トウヒ属1種の針葉の先枯れ、半枯れ、葉折れ、小枝の全葉枯れなどの病徴を示す針葉から病原を分離・同定した。その結果、いずれもPestalotiopsis属菌によるペスタロチア葉枯病と診断した。アカマツ(岩手・庭木)へのP. disseminataの寄生、クロマツ(茨城・盆栽)へのP. populi-nigraeの寄生、クロマツ(茨城・盆栽)、ヒメコマツ(茨城・盆栽)へのP. glandicolaの寄生はわが国では未報告であり、それぞれの樹種の新病原として追加した。アカエゾマツ(茨城・盆栽)の病原はP. glandicolaと同定し、エゾマツ類のPestalotiopsis属菌による病害の記録はなく、新たにエゾマツペスタロチア葉枯病と命名した。分離菌株の病原性は宿主と同種または同属植物に対する有傷と無傷接種を行い、いずれも有傷接種のみで発病が認められた。病徴は分離菌株と樹種の組み合わせで多少異なったが、アカマツとクロマツが散発的に葉が枯れるのに対して、エゾマツとヒメコマツは有傷接種葉のほとんどが激しく枯れ、分離源樹木の病徴とほぼ一致する結果が得られた。
樹木医学会の論文
1998-03-31