フィリピンにおいて無農薬バナナおよび圃場から分離された菌類の同定
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概要
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フィリピン産無農薬バナナに発生する菌類の由来を調べるため,無農薬バナナおよびその生産圃場に認められる菌類の調査を2000年6月から2001年5月に,フィリピンルソン島のヌエヴァヴィスカヤ州で実施した。果実の菌類は果実表面を綿棒で拭って,また,圃場の菌類は寒天トラップで採集した。41属80種の菌類がバナナ圃場の空気中で採集された,それらのうち,25属54種はバナナ果実からも分離された。すなわち,18種のAspergillus属,10種のPenicillium属,6種のFusarium属,3種のCurvularia属,Pestalotiopsis属およびPhomopsis属,Colletotrichum属およびPhoma属がそれぞれ2種,Acladium属,Acremonium属,Annellophorella属,Arthrinium属,Aureobasidium属,Basipetospora属,Bipolaris属,Cladosporium属,Cylindrocarpon属,Dactylaria属,Diplodia属,Drechslera属,Gliocladium属,Glomerella属,Lasiodiplodia属,Monilia属,Mucor属,Nectria属,Nigrospora属,Nuerospora属,Oedocephalum属,Oidiodendron属,Plectosporium属,Rhizopus属,Spiromyces属,Stemphyliomma属Tetraploa属,Thielaviopsis属,Trichoderma属,Thysanophora属,Ulocladium属およびVerticillium属が各1種の各菌である。無農薬バナナ圃場の空気中で採集した合計80種の菌類のうち,54種(68%)は圃場で生長中の無農薬バナナからも検出されたが,日本に輸入された無農薬バナナのポストハーベスト病害の病斑から検出されたのは45種(56%)であった。フィリピンにおける無農薬バナナ果実上の菌類相と比較すると,日本に輸入後の無農薬バナナ果実上の菌類は17種類も少なかった。これらの結果から,圃場で生育中の無農薬バナナおよび日本に輸入された無農薬バナナのポストハーベスト病害の病原菌は,フィリピンの無農薬バナナ圃場の気中菌に由来すると考えられた。同時に,バナナ圃場と生育中のバナナ果実,および日本に輸入されたフィリピン産の無農薬バナナ果実から検出される菌類のうち,Acremonium strictum, Arthrinium phaeospermum, Aspergillus flavus, Colletotrichum musae, Colletotrichum gloeosporioides, Curvularia lunata, Fusarium equiseti, Fusarium incarnatum, Fusarium oxysporum, Fusarium solani, Fusarium verticillioides, Gliocladium roseum, Glomerella cingulata, Lasiodiplodia theobromae, Phomopsis sp., Phyllosticta musarumおよびThielaviopsis paradoxaの各菌は,既報のバナナ病原菌と共通であった。
- 2002-09-20
著者
-
小林 享夫
東京農業大学国際農業開発学科
-
小林 享夫
東京農業大学国際食料情報学部
-
Dionisio G.
東京農業大学大学院農学研究科農学
-
丹田 誠之助
東京農業大学農学部農学科
-
丹田 誠之助
東京農業大学農学部
-
小林 享夫
東京農業大学国際食料情報学部国際農業開発学科
-
丹田 誠之助
東京農業大学大学院農学研究科農学
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