インドネシアにおけるバナナ在来種からのウイルス検出およびバナナバンチートップウイルスの分子生物学的初解析
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概要
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バナナ(Musa spp)にとって,ウイルスの存在は,生産の場だけではなく,遺伝資源としての種や品種の保存においても重大な脅威である。本研究では,インドネシアのジョグジャカルタ特別州に位置するバナナ品種保存園において,38品種68株のバナナを3年間に渡って採集し,血清学的・分子生物学的手法の両方または一方を用いて,ウイルスの検出を行った。その結果,キュウリモザイクウイルス(CMV)は3株のみで感染が確認されたのに対し,バナナバンチートップウイルス(BBTV)は21株で認められたことから,本来はウイルスフリーであるべき本品種保存園においてもBBTVは蔓延していることが示された。また,調査を行った38品種は長期間同じ環境条件下で栽培されていたが,BBTVは12品種で,CMVは3品種でそれぞれ病徴を伴って感染が確認された。このことから,これらの12品種と3品種はそれぞれBBTVとCMVに対して,より感受性であると思われた。バナナ品種保存園に発生したBBTV2分離株(BBTV-IG33, -IG64)とその近郊の農村に発生したBBTV1分離株(BBTV-IJs11)についてDNA-1とDNA-3の塩基配列を決定した結果,それぞれのコンポーネントの全長で3分離株は高い相同性を有していた(98〜99%,99〜100%)。また,DNA-1のCR-M領域(major common region)では,既報のオーストラリアおよびフィジーの分離株よりも,日本・台湾・フィリピン・中国・ベトナムの分離株と,より高い値を示した(63〜65%,93〜95%)。したがって,インドネシアにおけるBBTVアジアグループ(KARANら,1994)の発生とそれらの分子生物学的性状が本研究によって初めて明確に示された。
著者
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夏秋 啓子
東京農業大学大学院農学研究科国際農業開発学
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夏秋 啓子
東京農業大学国際食料情報学部国際農業開発学科
-
Somowiyarjo Susamto
インドネシアガジャマダ大学農学部植物病理学研究室
-
古屋 典子
東京農業大学農学研究科国際農業開発学
-
夏秋 啓子
東京農業大学国際食料情報学部熱帯作物保護学研究室
-
夏秋 啓子
東京農業大学大学院農学研究科
-
古屋 典子
東京農業大学大学院農学研究科
-
Somowiyarjo Susamto
Gadjah Mada Univ.
-
夏秋 啓子
東京農業大学国際食料情報学部
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