アバカ(Musa textilis Nee)に発生するバナナバンチートップウイルスとキュウリモザイクウイルスの分子生物学的性状の解明
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
繊維用作物であるアバカ(Musa textilis Nee)は,フィリピンの主要工芸作物の1つである。フィリピンのルソン島とネグロス島のアバカとバナナについて,バナナバンチートップウイルス(Banana bunchy top virus ; BBTV),キュウリモザイクウイルス(Cucumber mosaic virus ; CMV),およびBanana bract mosaic virus(BBrMV)の発生状況を調査した。収集したアバカ37株中34株からはBBrMVが,12株からはBBTVが,6株からはCMVが検出された。また,収集したバナナ25株中19株からはBBTVが,14株からはBBrMVが,3株からはCMVが検出された。このことから,本研究で調査した地域のアバカではBBrMVが,バナナではBBTVとBBrMVが主要なウイルスであることが明らかになった。また,バンチートップ病のアブラムシ伝搬試験を行い,本病に対して抵抗性を有するアバカの品種を示した。アバカバンチートップ病の病原と推定されるウイルスについて,塩基配列を一部決定し,複製開始タンパク質遺伝子,外被タンパク質遺伝子,移行タンパク質遺伝子を既報のウイルスと比較した。アバカから分離されたウイルスは,バナナから分離されたBBTVと各遺伝子のアミノ酸配列で99%以上の高い相同性を示したことから,アバカでもバナナと同様にBBTVが発生していることが,分子生物学的に初めて証明された。また,アバカにおけるCMVの発生をELISA法とRT-PCR法によって初めて確認し,外被タンパク質遺伝子の解析から,CMVサブグループIBに分類されることを示した。
- 2006-09-30
著者
-
夏秋 啓子
東京農業大学国際食料情報学部国際農業開発学科
-
古屋 典子
東京農業大学農学研究科国際農業開発学
-
夏秋 啓子
東京農業大学国際食料情報学部熱帯作物保護学研究室
-
DIZON O.Teodora
フィリピン大学ロスバニオス校植物育種研究所
-
夏秋 啓子
東京農業大学大学院農学研究科
-
古屋 典子
東京農業大学大学院農学研究科
-
夏秋 啓子
東京農業大学国際食料情報学部
関連論文
- 韓国のマクワウリにおけるキュウリ緑斑モザイクウイルスの発生とその特性
- Brassica及びRaphanus属の日本産在来品種のアブラナ科黒斑病菌(Alternaria brassicae)に対する抵抗性評価
- タコノキ属植物の果実腐敗病(新称)
- Lasiodiplodia theobromaeによるカカオの果実腐敗病(新称)
- (103)ヒメジョオン(Erigeron annuus)の病害2種と病原菌の諸性質(平成15年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (23) Diploceras hypericinumによるヒペリカム褐紋病(新称)(平成18年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- お酒の美味しい季節を迎えて
- Fusarium oxysporum f. sp. tanacetiによるナツシロギク萎凋病(新称)
- Fusarium oxysporumによるナツシロギク萎凋病(新称)(関東部会講演要旨,平成17年度地域部会講演要旨)
- 植物ウイルス検出のためのゼラチン粒子凝集法の利用
- 17. インドネシアバリ島における弱毒ウイルスによるトマトウイルス病防除の可能性
- カカオに発生したLasiodiplodia theobromae (Pat.) Griffon & Maubl.による果実腐敗病(新称)(関東部会講演要旨,平成18年度地域部会講演要旨)
- (4) Haematonectria haematococca (Berk. & Broome) Samuels & Nirenberg (Anamorph: Fusarium sp.)によるアロエ輪紋病(新称)(平成18年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- アバカ(Musa textilis Nee)に発生するバナナバンチートップウイルスとキュウリモザイクウイルスの分子生物学的性状の解明
- インドネシアにおけるバナナ在来種からのウイルス検出およびバナナバンチートップウイルスの分子生物学的初解析
- (348)アバカに発生するウイルスの検出およびバナナバンチートップウイルス(BBTV)の遺伝子解析(平成15年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- 無農薬バナナから分離された菌類の病原性
- フィリピンにおける無農薬バナナの栽培法および収穫後の管理法と品質劣化の関係
- インドネシアおよびフィリピン産バナナ各品種からのウイルス検出
- 無農薬バナナにおけるポストハーベスト病害の病徴とそれらに関係する菌類
- フィリピン産パパイヤ輪点ウイルスの性質と検出法
- アルストロメリアモザイクウイルスの性状と血清学的診断法
- (217) ミャンマーにおけるパパイア輪点ウイルス(PRSV)の発生とその特性(平成20年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (61) Cylindrocladium pacificumによるキングサリ根腐病(平成20年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- ヒマラヤスギのペスタロチア病(新称)
- (207) Banana bunchy top virus (BBTV)の代替宿主の探索(平成20年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- Colletotrichum dematiumによるアガパンサス炭疽病(新称)
- (188) ミャンマーのバナナにおけるウイルスの発生とその性状(平成19年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (15) Cylindrocladium canadenseによるツボサンゴ株枯病(新称)(平成19年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (11) Gibberella zeae (anamorph: Fusarium graminearum)によるホワイトレースフラワー萎凋病(新称)(平成19年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- 沖永良部島のテッポウユリより検出された3種のウイルスについて(九州部会講演要旨,平成18年度地域部会講演要旨)
- (291) アジア産バナナゲノムにおけるbanana endogenous viruses (BEVs)の内生状況の解明(平成18年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (27) Cylindrocladium canadenseによるイチゴ苗立枯病(新称)(平成18年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (5) 数種糸状菌によるタコノキ果実腐敗病(新称)(平成18年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- わが国におけるパッションフルーツ萎凋病(新称)の発生とその病原
- 30. 熱帯産ダイジョ (Dioscorea alata L.) に関する研究 : 第34報 茎頂培養によるウィルスフリー化
- 日本のヤマノイモから検出されるpotyvirus
- 植物防疫基礎講座 植物ウイルスの分類学(5)コモウイルス科(Comoviridae)
- キュウリモザイクウイルスおよびプルヌスネクロティックリングスポットウイルス類縁ウイルスの重複感染によるウメの新病害,ウメ葉縁えそ病
- ワルナスビ(Solanum carolinense L.)から分離されたタバコモザイクウイルス〔英文〕
- マメ科植物の2種の種子伝染性ウイルス,アルファルファ潜伏ウイルスおよびシロクロ-バ潜伏ウイルス〔英文〕
- (118) Calonectria ilicicola (Anamorph : Cylindrocladium parasiticum)によるケンチャヤシ褐斑病(新称)(平成17年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (7) Cylindrocladium theaeによるサラセニア褐斑病(新称)(関東部会講演要旨, 平成16年度地域部会講演要旨)
- (116)わが国におけるNeonectria castaneicolaおよびN. rugulosaの発生とその分類(平成15年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (46)Neonectria castaneicolaによるシラベとウリカエデのがんしゅ性病害
- 50. RT-PCR法による2種のパパイアウイルスの検出と識別(日本熱帯農業学会第96回講演会)
- マサキ褐紋病菌の所属の再検討と病原性の確認
- タバコから分離されたトマト黄化えそウイルスの精製
- (40)インドハマユウ赤斑病(新称)の発生および病原菌のヒガンバナ科植物への病原性(関東部会講演要旨)(平成15年度地域部会講演要旨)
- (39)シノブヒバ樹脂胴枯病と2,3ヒノキ科針葉樹への病原性(関東部会講演要旨)(平成15年度地域部会講演要旨)
- わが国のビッグベイン症状を示すレタスから検出されたMirafiori lettuce virus
- ウメ(Prunus mume Sieb. et Zucc.)から分離されたCucumber mosaic virusはSubgroupIに属すが血清学的に区別される
- ソラマメウイルトウイルスによるエキザカムの萎縮病(新称)
- 花弁の斑入りを示すミヤコワスレから分離されたキクBウイルスの一系統
- トマト黄化えそウイルスの受身赤血球凝集反応
- ゼラチン粒子凝集法によるニンニク潜在ウイルスのネギからの検出
- (179) 日本とインドネシアのハイビスカスから分離されたHibiscus latent Fort Pierce virus (HLFPV)(平成17年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- ライラックから分離されたPseudomonas syringae pv. syingaeの接種による各種木本植物の症状
- Pseudomonas syringae pv. syringaeによるライラック枝枯細菌病
- (259)インドネシアとわが国におけるバナナからのBanana streak virusの検出(平成16年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (260)台湾産,マレーシア産および日本産パイナップルから検出された3種のウイルスについて(平成16年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (302)インドネシア産および沖縄産バナナから分離されたバナナバンチートップウイルス(BBTV)DNA3の全塩基配列とその解析(平成14年度 日本植物病理学会大会講演要旨)
- (152)沖縄県におけるバナナのウイルス病の発生実態
- 福島県で発生したインゲンマメつる枯病の病原ウイルス (クローバ葉脈黄化ウイルス) について
- 高松進・小林一成・吉岡博文・豊田和弘編著, 『植物病の探求In Pursuit of the Essence of Plant Pathogenesis』, A4判, 188頁, 発行2004年9月, 「植物病の探求」出版会, 2500円
- イトバショウ(Musa balbisiana var. liukiuensis)のバナナバンチートップウイルスに対する抵抗性
- イトバショウ (Musa balbisiana var. liukiuensis) のバナナバンチートップウイルスに対する抵抗性
- (31) ライラック枝枯細菌病菌の罹病枝での越冬 (夏季関東部会講演要旨)
- パキスタンに発生したトマト巻葉病を引き起こす単一ゲノム性 Begomovirus およびβサテライトの感染性クローンによる感染性解析
- パキスタンのcotton leaf curl diseaseの病原である単一ゲノムタイプのベゴモウイルスとDNA β サテライト複合体においてDNA 1の随伴は常には起きない
- マサキ褐紋病菌の所属の再検討と病原性の確認
- モモせん孔細菌病菌(主にXanthomonas arboricola pv. pruni)の薬剤感受性に関する研究