インドネシアのトカドヘチマら分離されたキュウリ緑斑モザイクウイルス(Kyuri Green mottle virus)の生物学的性状および外被タンパク質遺伝子の塩基配列の解明
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概要
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インドネシアジョクジャカルタ市近辺で栽培されている多くのウリ科作物の中でも,トカドヘチマ(Luffa acutangula L.)は地元市場への供給を目的として,狭い面積ではあるが常時栽培されている。ジョクジャカルタ市近辺で2000年から2001年にかけて実施したウイルス病の調査において,多くのトカドヘチマが葉のモザイクや葉や果実の奇形という症状を呈しているのが見出された。これらの病葉よりウイルスを分離したところ,まずその粒子の形態からTobamovirus属ウイルスであると考えられた。また,血清学的にはKyuri green mottle mosaic virus(KGMMV, キュウリ緑斑モザイクウイルス)と近縁関係があることが示された。さらに,同分離株の外被タンパク質をコードする遺伝子についてその塩基配列を明らかにして,KGMMV-YM, KGMMV-C, およびKGMMV-Yなど既報のKGMMV分離株比較をしたところ,KGMMVとの高い類似性が認められた。汁液接種では,3科15種の植物に感染性があったが,いくつかのウリ科植物ではモザイク症状を示し,Chenopodium amaranticolorおよびC. quinoa. ではえそ斑点を生じた。しかし,同ウイルスはダチュラ(Datura stramonium),ペチュニア,N. glutinosaなどには感染しなかった。インドネシアのトカドヘチマでは今までKGMMVの発生は報告されていなかったが,メロンでの発生が知られているため,KGMMVの発生する植物として2例目と考えられる。
- 東京農業大学の論文
- 2006-06-30
著者
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Somowiyarjo Susamto
インドネシアガジャマダ大学農学部植物病理学研究室
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Daryono Budi
東京農業大学農学研究科国際農業開発学
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Natsuaki T.
東京農業大学国際食料情報学部熱帯作物保護学研究室
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