データベースの多様な応用分野を対象とする並列処理システムSMASH : 複雑なデータ構造の支援
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概要
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データベースに関する研究の進歩にともない,データベース技術を様々な分野に応用しようとする試みがなされている.また,データベースの応用分野の多様化につれて,処理対象のデータ量も増大している.そこで,高い拡張性を備え,かつ,高速処理能力のあるデータベース・システムの実現が重要な課題となっている.このような背景の中で,データベースの多様な応用分野および知識ベースに柔軟に対応できる並列処理方式および並列処理システムSMASHの設計,実現を行っている.この方式の特徴は,次のようにまとめられる.(1)データベースおよび知識ベースを対象とする任意の演算を柔軟にシステム内に統合し,それらを並列に処理する拡張性の高い環境を実現する.データベースおよび知識ベースを対象とする任意の操作に対して並列処理を実現するために,関数型計算の枠組みの中でそれらの操作を記述し,実行する.本処理方式では,多様化するデータベースの応用に対し柔軟な並列処理環境を実現するために,関数型計算モデルの概念を,データベース処理に通用している.(2)ハードウェアの急速な進歩に対応するために,汎用のハードウェア資源を用いて実現する.(1),(2)を満たす並列処理環境を実現するために,基本プリミティブを設定した.基本プリミティブは,処理対象となる任意の応用分野の基本演算を記述できるように,基本演算に依存しないレベルに設定し,また,関数計算のための機能をハードウェアに依存しない水準で記述できるように,ハードウェアから独立なレベルに設定した.本処理系において,関数は,応用分野の基本演算をシステム内に統合する際の単位となっている.すなわち,本処理系の対象となる各基本演算は,関数型プログラミングの枠組みの中で,ストリームを引数とする関数として記述される.このようにして記述された関数群に内在する並列性が,関数型計算の枠組みの中で,抽出される.基本演算を単位として記述された各関数は,ストリームに対する関数計算を実行するための基本プリミティブを含む逐次的なオブジェクト・コードに変換される.それらの基本演算は,関数を単位としてプロセッサへ割り当てられ,要求駆動型評価による関数型計算の枠組みの中で並列に実行される.その結果,関数を粒度とした並列性が抽出される.多様な応用分野に対応するための拡張性の支援は,データベースの分野におけるもっとも重要な課題の一つである.本システムでは,基本演算およびデータ型に関する拡張性の支援により,その解決を試みている.本稿では,SMASHにおけるデータ型の記述,および,それらをシステム上で実現するための機能について述べる.
- 社団法人情報処理学会の論文
- 1989-03-15
著者
-
清木 康
筑波大学電子・情報工学系
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清木 康
筑波大学 電子・情報工学系
-
黒沢 貴弘
筑波大学
-
高井 良宏
筑波大学 電子・情報工学系
-
黒沢 貴弘
筑波大学 電子・情報工学系
-
加藤 和彦
東京大学 理学部 情報科学科
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益田 隆司
東京大学 理学部 情報科学科
-
清木 康
筑波大学物理工学系
-
清木 康
筑波大 電子・情報工学系
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