ユーザが拡張可能なイベント監視機構を持つ分散デバッガの設計と実現

概要

論文の詳細を見る
今日ますます重要となりつつある分散アプリケーションは、従来の逐次型アプリケーションと比べ、並列性・非決定性・伝達遅延などの要因により、デバッグの困難が著しく増していることがたびたび指摘されている。それゆえ、効率的なデバッグのためには、分散アプリケーションの性質に特化したデバッガの支援が望まれ、国内外を問わず多数の研究が行なわれてきているが、未だ一般的に広まるには至っていない。本稿では、当研究室にて現在研究開発中のデバッグ支援システムについて述べる。本システムは、メッセージ交換により協調動作する分散アプリケーションを対象とし、メッセージ送受信などのイベントを監視してデバッグ作業を支援するものであるが、内蔵の小型インタプリタ言語によりデバッガの動作を記述することができ、柔軟性および拡張性を高めている。このようなアイディアはCMUのBEEなどにも見られるが、本システムでは、汎用の言語を搭載することにより、イベント監視条件のみならずデバッガのさまざまな挙動を統一的に記述できるシステムを目指している。
一般社団法人情報処理学会の論文
1995-03-15