並列・分散処理環境を対象としたOSReSCにおける分散オプティマイザ

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バス共有型マルチプロセッサや高速LAN(Local Area Network)の普及にともない、並列・分散処理環境を有効に利用するための研究が盛んに行われている。分散型オペレーティング・システムに関する研究では、アプリケーションの記述性に重点が置かれ、ファイルやプリンタ等の資源に対するアクセスの透明を実現することが重要な課題であった。一方、並列処理という観点からは、従来の分散型オペレーティング・システムでは不十分な点がある。例えば、ネットワーク上の資源の位置は、並列処理を行う上で重要な情報となり得るが、カーネル外でその情報を利用することは、困難であった。また、シェル・スクリプト等により複数のコマンドを組合せて利用する場合も、オペレーティング・システムのレベルでは、コマンドの結合関係を知ることができず、それを利用した最適化を行うことはできない。このような問題点を解決することを目的として、我々は、並列処理、および、分散処理を行うアプリケーションを指向したオペレーティング・システムReSCを開発している。本システムが対象とする並列・分散ハードウェアは、バス共有型マルチプロセッサやシングルプロセッサが高速LANで結合されたものである。本システムは、次のような機能を提供する。(1)遠隔カーネル・コールによる遠隔資源の利用。(2)オブジェクト識別子からネットワーク上の位置を特定する。(3)効率のよいネットワーク通信、および、信頼性のある通信。(4)軽量プロセス(マイクロプロセスと仮想プロセッサ)。これらの機能を利用して、本システムのシェル(コマンド・インタプリタ)は、コマンドを実行するサイトを決定する。このように、並列・分散環境を観察し、資源割当てを行うモジュールを分散オプティマイザとよぶ。分散型オペレーティング・システムでは、汎用の分散オプティマイザがカーネルの中に組み込まれている。これに対して、本システムでは、カーネルの外で実現される。それにより、個々のアプリケーションに適した効率のよい資源割当てや、簡潔な記述法を設定することが可能となる。本稿では、まず、単純なフィルタ型コマンドの実行サイトの決定について述べる。次に、互に協調し動作するコマンド群を並列に実行するためのシェルについて述べる。
一般社団法人情報処理学会の論文
1990-03-14

並列・分散処理環境を対象としたOSReSCにおける分散オプティマイザ

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