千葉演習林におけるスギ高齢林分の間伐方法に関する検討

概要

論文の詳細を見る
環境保全と優良大径材生産を目的とする高齢林の施業方法を検討した。東京大学千葉演習林における99年生のスギ林分をモデルとし、3種類の間伐法を想定し、それらを環境保全型、長伐期施業型、複層林施業型と名づけ、それぞれの本数間伐率を40、58、70%とした。これら3とおりの間伐に無間伐型を加え、4種の間伐法を採用した場合の20年間の成長予測を行った。また、長伐期施業型間伐と複層林施業型間伐の場合にはスギを樹下植栽したと仮定し、下木の成長予測も同時に行った。その結果、間伐後20年間の胸高断面積合計の増加量は環境保全型間伐の場合に最大となり、無間伐の場合には枯損が生じるため最小となった。そのことから、モデルとなった林分では胸高断面積合計が限界に達していると考えられ、間伐の必要性が認められた。また、長伐期施業型間伐の場合には下木の成長量が少なく、光不足によると思われる枯損を約10%ほど生じたため、20〜30年後には再間伐の必要性が認められた。これに対して、複屑林施業型間伐の場合には下木は安定した成長を示した。
日本森林学会の論文
1995-07-01