スギ二段林の材積成長モデル
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概要
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本論文では、二段林の上木および下木の材積成長を統一したモデルで表現した。同齢単純林における呼吸損失量と同化量に関する四つの仮定に、さらに、下木の林冠が閉鎖している二段林の単位面積当りの純光合成速度は一定で、一斉林のそれよりも大きい、という仮定を追加した。それらの仮定から、二段林の各林木の材積vの成長式dv/dt=(γA/Σv^n)v^n-bv^<2/3>(林冠閉鎖時)、dv/dt=(γαAV^βN^<1-β>/Σv^n)v^n-bv^<2/3>(林冠疎開時)を導いた。ただし、Vは林分材積、Nは立木本数、Aは樹種と地位によって決まる定数、b、βは樹種によって決まる定数、αは初回の林冠閉鎖以前は樹種によって決まる定数で、それ以降は間伐によって変化する。また、γは上木では1、下木では上木の林分材積、立木本数から決定される値となる。このモデルでは上木の林冠の閉鎖状態によってのみ下木の成長の低下が起こるとし、パラメータγによって庇陰の度合いが表現されている。さらに、樹高成長について仮定し、この材積成長モデルを二段林の成長予測に応用する方法を提案した。スギ二段林に対してこの方法を適用し、モデルの妥当性を検討した。最後に、モデルに含まれている仮定について考察した。
- 日本森林学会の論文
- 1995-01-01
著者
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