東京大学北海道演習林ヨーロッパトウヒ材積表の調製 : 材積表調製システムの作成
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概要
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東京大学北海道演習林ヨーロッパトウヒ林に適用する目的で材積表を調製した。現行の北海道演習林トウヒ材積表は,1950年代に,当時40年生前後の資料木を用いて調製されたもので,現在70年生を超える林木に適用すると過小な値を示すことがわかったためである。新しい材積表の調製に当たっては,1987・1988年の二か年にわたり,当演習林内のヨーロッパトウヒ造林地全域より資料を収集した。正形数による分散分析の結果,本演習林のヨーロッパトウヒにおいては地形・標高・胸高直径・林齢による樹幹形の差が認められた。正形数,胸高形数,重回帰式の3つの方法により,二変数材積表を調製した。この3種の材積表の精度を比較したところ,胸高形数と重回帰式はほぼ同程度であった。理論上一般性を有する胸高形数による二変数材積表を採用することにした。採用された胸高形数による材積式は以下のとおりである。V=G・H・fb fb=1/(1.60123+0.0137dBH)ただし,V:幹材積,G:胸高断面積,H:樹高,fb:胸高形数,dBH:胸高直径次に,地位別に樹高曲線を決定した。樹高曲線式はヨーロッパトウヒに対して,最も適合度のよかったネスルンド式を採用した。樹高曲線式を用いて,胸高直径から樹高を求め,この二変数材積表を一変数材積表に変換した。一変数材積表の精度を調べるために,収集した資料木の実材積と一変数材積表による推定材積を比較したところ,単木レベルでは,±10%以内に76.5%の資料木が,±5%以内に42.9%の資料木が収まった。また,資料木全体の推定値は,実材積の100.218%であった。この結果は,材積表の精度としては満足できるものであった。This paper reports on the construction of the volume table for artificial Spruce (Picea abies) stands of the University Forest in Hokkaido. The present volume table underestimates over 70 years old trees because it was constructed uging under 40 years old trees. The analysis of variance on the normal form factor shows that geographical features, altitude, diameter at breast height and age have influence on the tree form of the Spruce stands in the University Forest. Three kinds of two-way volume table were constructed using the normal form factor, the breast height form factor and the multiple regression formula. Though the comparison between the three kinds of volume table shows that the breast height method and the multiple regression method have a higher degree of accuracy, the breast height method is accepted because of its universal idea. The volume formula with the breast height form factor is as follows. V=G・B・fb fb=1/(1.60123+0.0137DBH) where V=stem volume G=basal area H=tree height fb=breast height form factor DBH=diameter at breast height Next, the height-diameter curve formula are calculated by each site classes using the Naslund formula which shows best goodness of fit to the measured results. The two-way volume table is transformed into the one-way volume table with the height-diameter curve. The comparison of the measured volume with the calculated results shows that the one-way volume table satisfies the standard of volume table. Because 76.5% of measured trees are estimated within 10% difference and 42.9% are estimated within 5% difference and the total volume is estimated 0.218% difference.
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forests,東京大学農学部林学科,東海銀行,東京大学農学部附属演習林 北海道演習林,Depertment of Forestry, Faculty of Agriculture, the University of Tokyo,Bank of Toukai,University Forest in Hokkaido, Faculty of Agriculture, The University of Tokyoの論文
著者
-
芝野 伸策
東京大学農学部生命科学研究科北海道演習樹木林
-
井口 和信
東京大学北海道演習林
-
井口 和信
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林北海道演習林
-
高田 功一
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林北海道演習林
-
犬飼 浩
東大 農 北海道演習林
-
芝野 伸策
東大 大学院農学生命科学研究科 演習林北海道演習林
-
Shibano Shinsaku
University Forest In Hokkaido Graduate School Of Agricultural And Life Sciences The University Of To
-
Shibano Shinsaku
University Forest In Hokkaido Graduate School Of Agricultural And Life Sciences The University Of To
-
南雲 秀次郎
東京大学
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