<原著>学生のスポーツ行動の規定要因に関する研究(3) : スポーツ関連要因について
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概要
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数量化理論第II類を適用して, 学生のスポーツ行動を規定する要因の分析を進めてきた。本稿では特に, スポーツに関わる要因を説明変数として選定したが, 研究の結果を要約すると以下のようになる。1. 外的基準と説明変数のクロス集計の結果, 次のことが指摘される。(1)男女とも実施群は, スポーツとの関わりが深く, スポーツに対する意識も好意的である。この傾向は, 女子より男子に著しい。(2)スポーツ実施のための条件は, 男子の場合過去も現在も実施群の方が恵まれている。女子の場合, 現在の条件のみ恵まれている者が実施群に多い。(3)家族のスポーツ経験に関しては, 男女とも顧著な傾向差はみられなかった。(4)重要なる他者については, 男子は過去および現在において家族や友人, 教師, 近所の人からスポーツの奨励を受けた者が実施群に多い。女子も男子と同じ傾向であるが, 男子ほど顕著ではない。2. 単相関の結果, 外的基準と有意な相関がみられた変数は男子36,女子13であった。男子は特に, 「現在クラブ所属」, 「体育の好嫌」, 「現在クラブ・グループ」, 女子は「現在クラブ所属」, 「現在スポーツ知識・技能」, 「大会参加経験」などの相関が高い。これらは, 学生のスポーツ実施・非実施に直接的, 間接的に影響を与える要因とみられる。3. 変数の構造連関の状況から, 男子は特にスポー関与・意識要因と現在のスポーツ条件要因, 過去および現在の重要なる他者要因が構造的に相互連関しながらスポーツ実施・非実施を直接的, 間接的に規定している。女子は特に, スポーツ関与・意識要因と現在のスポーツ条件要因が過去のスポーツ条件要因と連関しながらスポーツ実施・非実施を規定している。4. 説明変数全体による外的基準の判別力を示す相関比は, 男子0.707,女子0.599,また判別適中率は男子83.1%, 女子81.6%であった。これは, 80%以上の成功率で判別できることを示しており, ここで選定した変数の有効性はある程度証明された。5. 偏相関によって, 外的基準との真の相関を求めた。男子は, 「TVスポーツ番組」, 「過去母のスポーツ奨励」, 「現在父のスポーツ経験」, 「現在母のスポーツ経験」, 「過去父のスポーツ経験」, 「現在母のスポーツ奨励」, 「現在スポーツの時間的余裕」, 「過去教師のスポーツ奨励」, 女子は「現在クラブ所属」, 「体育の好嫌」, 「TVスポーツ番組」, 「新聞スポーツ欄」, 「現在教師のスポーツ奨励」, 「現在母のスポーツ奨励」, 「過去近所の人のスポーヅ奨励」などの変数が有意に高い偏相関を示した。これらは, 学生のスポーツ実施・非実施の有力な規定要因といえる。また, 男女共通して強い規定力を有する変数もいくつかみられたが, 規定力順位は男女間に傾向差が認められた。6. カテゴリーの寄与と方向に関しては, 男子は過去母のスポーツ奨励「非常にあった」, TVスポーツ番組「見ない」・「あまり見ない」, 現在母のスポーツ経験「している」・「あまりしていない」, 現在スポーツクラブ「所属している」などのカテゴリーが実施群に大きく寄与している。女子は, 現在クラブ「所属している」, 現在スポーツ知識・技能「恵まれている」, 体育「過去嫌い現在好き」, 現在母のスポーツ経験「している」が実施群に寄与している。なお, カテゴリースコアーに関して若干疑問点が残ったが, これらは今後の課題としたい。
- 九州大学の論文
- 1982-03-30
著者
-
金崎 良三
Institute of Health Science, Kyushu University
-
徳永 幹雄
Institute of Health Science, Kyushu University
-
徳永 幹雄
第一福祉大学人間社会福祉学部
-
橋本 公雄
Fukuoka Institute of Technology
-
多々納 秀雄
Institute Of Health Science Kyushu University
-
金崎 良三
Institute of Health Science, Kyushu
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