感情の3次元構造論に基づく身体運動特有の感情尺度の作成 : MCL-3尺度の信頼性と妥当性

概要

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大学生男女を対象として,九鬼の感情の三次元構造論に準拠し,身体運動後の感情状態を測定する身体運動特有の感情測定尺度(MCL)の作成を試みた。主な結果はつぎに示すとおりである。1. 第1次研究で,12項目で構成された形容詞対からなる感情項目から「快感情」「リラックス感」と命名し得る2因子を抽出し,2つの下位尺度からなる感情測定尺度(MCL-1)を作成した。2. 第2次研究では,新たに作成されたMCL-2尺度の因子構造を明らかにした。その結果,第1研究ですでに抽出されていた「快感情」「リラックス感」因子のほかに「満足感」因子を抽出し,これらの3つの下位尺度(22項目)から構成される身体運動特有の感情測定尺度(MCL-3)を作成した。3.MCL-3尺度は高い信頼性(α=.959,P<.01)が認められ,下位尺度でも,α=.858〜.957の高い信頼性係数が得られた。4. 九鬼の感情の三次元構造論との比較で,MCL-3尺度の因子的妥当性が部分的ではあるが認められ,POMSとの関連から基準連関妥当性が認められた。5. 体育実技における運動後の感情は男女ともポジティブな状態を示し,いわゆる"気分のよい状態"を示していることが示唆された。