快適自己ペース走時の運動強度を規定する生理心理学的要因
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
快適自己ペース走の運動強度を規定する生理心理学的要因を調べるため, 男子大学生17名を対象として, 15分間のトレッドミル走を行った。運動強度の規定要因分析には主に相関係数と重回帰分析を用いて検討した。結果を要約するとつぎに示すとおりである。1.快適自己ペース走はほとんどのものが満足のいくペースであったことを回答したことから, 実験者が期待する走行が行われた。2.%Vo_2max(60%)やその他の運動強度指標から快適自己ペース走は中等度の運動強度で走行されていた。また, %Vo_2maxはRPEとの間には有意な相関は認められなかったが, 走行スピードや運動後の血中乳酸値や血黎カテコールアミン値との間に有意な正の相関がみられ, 快適自己ペース走での運動強度はそれらの血中生化学的成分値の変動と密接に関連することが明らかとなった。3.無酸素性作業同値(AT)と%Vo_2maxとの間に有意な相関がみられ, ATの高い者ほど高い運動強度で快適自己ペース走を行っていた。また, ほとんどの者がATかそれよりも低いレベルで走行していることから, 快適自己ペース走る時の運動強度へのATの関与が示唆された。4.心理的要因では, 快適自己ペース定時の%Vo_2maxは感情状態との間には有意な関係はみられず, 性格特性やタイプA行動パターンなどの特性変数との間に有意な相関関係がみられた。すなわち, 攻撃性, 一般的活動性, のんきさ, 支配性を有する者, またタイプA行動パターンを有する者ほど高い運動強度で走行する傾向がみられた。5.重回帰分析の結果, ATとタイプA行動パターンで%Vo_2maxを予測すると, 46.8%が説明され, しかも両者に有意な標準偏回帰係数が得られた。これらにY-G性格特性の攻撃性, 一般活動性, のんきさ, 支配性などをそれぞれ加えても全体の説明は高くならなかった。以上示したように, 快適自己ペース走の運動強度はATとタイプA行動パターンの影響を強く受けることが明らかにされた。したがって, 快適自己ペース走を実施する際, そのような特性を有する者へは安全性の面から注意を要するであろう。
- 九州大学の論文
著者
-
徳永 幹雄
Institute of Health Science, Kyushu University
-
徳永 幹雄
第一福祉大学人間社会福祉学部
-
斉藤 篤司
Institute of Health Science, Kyushu University
-
橋本 公雄
Institute of Health Science, Kyushu University
-
斎藤 篤司
九州大学健康科学センター
-
徳永 幹雄[他]
Institute of Health Science, Kyushu University
関連論文
- 高齢者のスポーツに関する社会心理学的研究(4) : 都市と農村におけるゲートボール実施者の比較
- 高齢者のスポーツに関する社会心理学的研究(3) : ゲートボール実施をめぐる問題について
- スポーツ行動の予測因に関する研究(3) : 男女別・年代別の比較
- 軽症高血圧者に対する健康処方の適用と効果に対する研究(第2報) : 3カ月間のテニス教室について
- 軽症高血圧者に対する健康処方の適用と効果に関する研究(第1報) : 3カ月間の運動教室について
- 03-6-BDO-39 心理的スキルとパフォーマンスの因果モデル構築の試み : 国民体育大会出場選手を対象として(03.体育心理学,一般研究発表抄録)
- 車いす陸上競技選手の心理的競技能力向上に向けたメンタルトレーニングに関する研究
- メンタルトレーニング--何がどのように役立つか(10)日本メンタルトレーニングフォーラムの開催
- 「健康度・生活習慣診断検査(DIHAL.2)」の開発
- 038 E30104 大学スポーツ選手のライフマネジメントと精神健康状態との関係
- スポーツ選手のメンタルヘルス評価尺度改訂版の作成
- 児童用精神的健康パターン診断検査の作成とその妥当性の検討
- 組織キャンプ体験が児童のメンタルヘルスに及ぼす効果--とくに自己決定感を中心として
- 034 総合体育館 07 スポーツ選手のメンタルヘルスと試合前の心理状態との関係
- 競技パフォーマンスに影響する心理的要因 : 心理的スキル及び心理的健康を中心とした
- 中年期女性のテニス継続が更年期症状に及ぼす影響
- 健康度・生活習慣の年代的差異及び授業前後での変化
- 健康参加タイプとその特性 : 健康関連要因に基づく分析
- 青少年の生活習慣が健康度評価に及ぼす影響
- 競技引退観検査とインタビュー法によるスポーツ選手の競技引退観に関する研究
- 青少年の「健康度・生活習慣診断検査」の作成に関する研究
- 組織キャンプ体験による児童の社会的スキル向上効果
- 037GYM213 高校ラグビー選手の心理的競技能力とライフスキルに関する研究
- 036GYM202 組織キャンプ体験による児童のメンタルヘルス変化過程
- 035GYM212 スポーツ選手のライフスキル獲得に関する研究
- 保健体育講義「健康科学」による健康度・生活習慣の改善
- 車椅子バスケットボール選手の心理的競技能力 : レギュラー選手と非レギュラー選手の比較
- 運動継続のための新しいアプローチ
- 介護福祉・健康づくりの現状と未来 : 心理学的アプローチ(介護福祉・健康づくりの現状と未来,シンポジウム,介護福祉・健康づくり,専門分科会企画)
- 036 法文 B207 健康度・生活習慣の変容に関する研究 (1) : 診断検査の再構成と年代的特徴
- スポーツ選手の心理的競技能力にみられる性差, 競技レベル差, 種目差
- スポーツクラブ経験が日常生活の心理的対処能力に及ぼす影響
- スポーツ選手の心理的競技能力のトレーニングに関する研究(4) : 診断テストの作成
- 運動経験と発育・発達に関する縦断的研究
- テニス選手に対するメンタルトレーニングの実施と効用性
- 運動による気分変化の一方略 : カップリングを用いることの意義
- メンタルヘルスパターンと健康行動との関係(1) : 特に身体活動関連変数を中心として
- 児童の組織キャンプ体験がストレス反応に及ぼす影響 : 認知的評価との関連から
- スポーツ競技におけるパフォーマンスを予測するための分析的枠組みの検討
- スポーツ選手の心理的特性に関する国際比較
- スポーツ選手に対する心理的競技能力のトレーニングに関する研究(2) : 皮膚温バイオフィードバックを利用したリラクセーションのトレーニングについて
- スポーツ選手に対する心理的競技能力のトレーニングに関する研究(1) : イメージ・トレーニングの予備的調査・実験
- 運動の爽快感とその規定要因(1)
- 大学における公開スポーツ教室の運営・指導に関する事例研究
- スポーツ選手の心理的競技能力のトレーニングに関する研究(3) : テニス選手のメンタル・トレーニングについて
- メンタルヘルスパターン診断検査の作成に関する研究(1) : MHP尺度の信頼性と妥当性
- 試合前の状態不安と実力発揮度の関係
- 大学生の栄養素等摂取状況と食物消費構造
- 軽症高血圧者に対する健康処方の通用と効果に関する研究(第3報) : 第2回テニス教室について
- 中高年者水泳教室での運動処方実践例
- 快適自己ペース走による感情の変化と運動強度
- 感情の3次元構造論に基づく身体運動特有の感情尺度の作成 : MCL-3尺度の信頼性と妥当性
- 喫煙行動の形成・変容過程に関する考察
- 九州大学教養部学生の体力及びスポーツ行動
- スポーツ行動の予測因に関する研究(2) : 身体的・心理的要因について
- 身体運動に対する態度と行動に関する研究
- アスリートの競技引退に関する研究の動向
- 試合中の心理状態の診断法とその有効性
- 快適自己ペース走によるポジティブな感情の変化量を規定する生理心理学的要因
- 競技者の心理的コンディショニングに関する研究 : 試合前の心理状態診断法の開発
- 〈研究資料〉運動中の感情状態を測定する尺度(短縮版)作成の試み : MCL-S.1尺度の信頼性と妥当性
- 〈研究資料〉諸外国及び日本における大学保健体育教育の動向
- 〈研究資料〉軽症高血圧者に対する健康処方の適用と効果に関する研究(第5報) : 中高年者のスポーツの継続条件をさぐる
- 〈研究資料〉軽症高血圧者に対する健康処方の適用と効果に関する研究(第4報) : 運動教室10年間の医学的検査結果について
- 快適自己ペース走時の運動強度を規定する生理心理学的要因
- 血圧及び健康度と生活形態に関する調査研究
- 運動の爽快感とその規定要因(2)
- スポーツ選手の心理的競技能力の「特性」および「状態」に関する研究 : 準硬式野球大会参加選手について
- 快適自己ペース走の再現性の検討
- 精神的健康パターンの分類の試みとその特性
- 血圧・脈拍の変動性および立位負荷に対する反応性
- 大学生の最高血圧およびその変動性に関係する要因
- 九州大学教養部学生の体力の実態と年次推移
- スポーツにおける競技特性不安尺度(TAIS)の信頼性と妥当性
- 健康度と生活習慣からみた健康生活パターン化の試み
- バイオフィードバック時の血圧の反応
- 一過性の運動による感情の変化と体力との関係
- スポーツ行動の規定要因に関する研究 : その方法論的課題
- 運動パフォーマンスに及ぼす自己評価と自己効力感の影響
- 中年婦人の健康処方の適用と効果に関する研究(2) : 健康テニス教室終了後2年間の追跡調査
- 運動によるストレス低減効果に関する研究(1) : SCL尺度作成の試みと運動実施者のストレス度の変化
- か月間のテニスによる身体活動が体力に及ぼす影響
- スポーツ行動の継続化とその要因に関する研究(2) : 大学生の場合
- スポーツ行動の継続化とその要因に関する研究(1) : 婦人テニス教室参加者の場合
- スポーツ選手の競技不安の解消に関する研究(2) : バイオフィードバック・トレーニングによる特性不安への影響について
- 中年婦人の健康処方の適用と効果に関する研究 : 3か月間のテニス教室について
- 健康度診断指標の検討とその関連要因
- スポーツ行動診断検査(DISC.1)の作成
- イリノイ大学の体育・スポーツ
- 若年性動揺性高血圧学生の健康, 体力及びスポーツ活動
- スポーツ行動診断検査の試案
- 幼児の身体発育及び運動能力の発達に関与する要因
- 学生のスポーツ行動の規定要因に関する研究(3) : スポーツ関連要因について
- 中年期女性の更年期症状と運動・スポーツ
- 社会人の健康を規定する要因の研究
- スポーツ行動の予測因に関する研究(1) : 社会学的要因について
- Relationship between Psychological-Competitive Ability and Competitive Performance in Japanese Athletes
- 体育授業の「運動の楽しさ」に関する因子分析的研究
- スポーツ行動の予測因子としての行動意図・態度・信念に関する研究(II) : ランニング実施者と非実施者の諸属性の比較
- 健康度パターンと生活形態の関係に関する研究