サロマ湖(塩水湖)におけるice algae による着色海氷(英文)
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概要
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北海道オホーツク海岸の紋別において, 流氷下端から, また, サロマ湖の湖氷下端からも, ice algaeによる着色層を見出した。サロマ湖は潟湖であり, 湖内には31‰以上の塩水が存在する。したがって, 例年1月から4月へかけて湖面を覆う氷は, 海氷と呼び得る性質のものである。サロマ湖北西岸トエトコにおける観察の結果, 冬季形成される海氷は, 20∿40cmに達した後, ほとんど成長を止めることを知った。この時期, 海氷下に褐色層が形成され, Fragilariopsis, Nitzschia, Thalassiosiraなどの珪藻を主としたice algaeが認められた。クロロフィルaは25.88μg/lにも達した。南北両極海では, 海氷の下端付近でice algaeが繁殖し, 着色現象が起こることが広く知られている。昭和基地付近では, 2月中旬に結氷がはじまり, 3月, 海氷の厚さが30cmくらいになった後, 1ヵ月ほどその成長が停滞する。また, 冬期間, 1mを越すほどに成長した海氷は, 春10月以降ふたたび成長を止める。この二度の時期に, 珪藻を主としたice algaeの増加が海氷下面付近で起こる。北海道で見られたice algaeによる海氷の着色現象は, 昭和基地で秋季に見られた現象とよく似ている。サロマ湖においても, 昭和基地においても, 海氷下端でice algaeの繁殖が起こる時期には, 海氷下の海水中のクロロフィルa量は, それぞれ0.09-0.23μg/l, 0.05-0.13μg/lと低く, かつ減少傾向を示した。サロマ湖は, 海氷の着色が起こる, 北半球における最も南の地域に位置していると思われる。
- 国立極地研究所の論文
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