昭和基地で採取した南極産紅藻Phyllophora antarctica の長期培養
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1982年1月(23次)及び1985年1月(26次)に, 昭和基地地先の氷結していた北の瀬戸で, つぶ籠を用いて採集したウニの棘上に付着した南極特産紅藻のPhyllophora antarcticaとPhycodrys antarcticaを採取した。1982年1月に採取したPhyll. antarcticaの葉体は, 日本に持ち帰った後, ガラス製飼育水槽内(幅60cm, 奥行30cm, 高さ45cm, 65L)で, 館内に注入される海水を用い循環式流水で動物との混合で通気培養を行った。水温は-1.9∿1.5℃, 光条件は10W白色蛍光灯1本で照射し12時間明期, 12時間暗期にした。葉体は成長につれ叉状分岐していったが, 同時に葉縁から新しい幼葉が生じてこれも成長した。幼葉は成長ととも分岐していった。老いた部位には珪藻やらん藻などの微細藻類が着生し濃紅色になりちぎれやすくなった。葉体は飼育水槽内で16年間生存したが, 10cm以上の大きさにまで成長する葉体は少なかった。葉体には果胞子襄などの生殖器官はみられず栄養成長だけで増加した。1985年1月に採取したPhyll. antarcticaの葉体を腰高シャーレに入れ, 5℃の低温庫内で, 5-50μE/(cm)^<-2>・s^<-1>の光量で12時間明期, 12時間暗期で静置培養を続けた。この場合にも葉縁から幼葉が生じ成長した。しかも, 葉体は水槽通気培養の場合と比較すると小さく2-3cmの葉長にとどまった。葉体を入れた腰高シャーレをアルミホイルで覆った連続暗状態にし0℃と5℃で1年間培養したところ, 50%以上が生存した。しかし, 培養期間を3年間にするとほとんどの葉体が死滅した。
- 国立極地研究所の論文
著者
-
星合 孝男
国立極地研究所
-
鳥羽山 照夫
鴨川シーワールド
-
榊原 茂
下関市立しものせき水族館海響館
-
榊原 茂
下関水族館
-
大野 正夫
高知大学海洋生物教育研究センター
-
大野 正夫
高知大海洋研セ
-
金銅 義隆
鴨川シーワールド
関連論文
- 土佐湾におけるカジメ個体群
- 第23次越冬隊海洋生物観測(BIOMASS計画)報告1982
- 第16次南極地域観測隊越冬隊報告1975-1976
- P-2-18 シロイルカにおける推移的推論について
- シロイルカによるだ円と円の弁別
- シロイルカにおける刺激等価性に関する予備的研究
- P-2-2 シロイルカにおける人工言語の習得過程(日本動物心理学会第56回大会発表要旨)
- 瀬戸内海および西部北太平洋におけるスナメリの寄生蠕虫ならびに着生生物相と宿主地方個体群によるそれらの違いに関する予察的な報告
- 緑藻スジアオノリの冷蔵保存
- 土佐湾の磯焼け海域におけるスポアバッグ法によるカジメ海中林の造成
- 成長の異なるスジアオノリ藻体での胞子形成阻害活性の決定
- スジアオノリ藻体からの抽出液がスジアオノリ初期形態形成に及ぼす影響
- ヨーロッパのアオサについて
- 海洋深層水と表層海水を用いたオフシーズンのワカメの屋内タンク培養
- 異なる温度条件下におけるスジアオノリのクローン藻体の成長と成熟
- 海洋深層水で夏期に育てたワカメの成長について
- 日本産アナアオサとオランダ産 Ulva rigida の形態比較と交雑について
- スジアオノリの成熟促進に及ぼす細断片のサイズ, 温度の関係
- 博多湾に生育するアオサ2型の生殖的隔離について
- クジラを手づかみにした話
- はじめに(ホンダワラ類の繁殖・生態と藻場造成技術)
- 中国産と鳴門天然ワカメの形態形質特性
- スジアオノリの母藻細断法による人工採苗
- 昭和基地近くの海氷下で観察されたParalabidocera antarctica(橈脚類)の集群について(英文)
- 土佐湾沖の流れ藻の藻類学的研究
- 昭和基地で採取した南極産紅藻Phyllophora antarctica の長期培養
- 南極海沿岸域のクロロフィルaの垂直的分布と現存量(英文)
- 「しらせ」航路(1984-1985)における表面および船底海水中のクロロフィルα量(英文)
- 昭和基地付近における2ケ所のアデリーペンギンルッカリーにおけるペンギン個体数の変動(英文)
- Preface
- ウオーターフロント開発と水族館 : ウオーターフロントの再開発に水族館を作る目的
- BIOMASS 計画における日本の活動(英文)
- いま、海で何が起こっているか(4)海の修復と海洋牧場計画
- 高知県手結地先に生育するカジメ(褐藻, コンブ目)の年齢と形態の関係
- 愛媛県屋八幡浜市伊予大島 ・ 地大島の藻場調査報告
- 419 マリン・ラグーン(第4報) : 屎尿前処理の殺菌効果
- 359 マリン・ラグーン (第3報) : プランクトンによる屎尿の連續処理
- 139 マリン・ラグーン(第2報) : フラスコによる予備実験
- 和歌山県白浜産クロメの成長・成熟と形態の季節的変化
- いま,海で何が起こっているか(3)地球温暖化が海の生物相を変えている
- いま,海で何が起こっているか(2)アオサの異常繁殖とグリーンタイド
- いま,海で何が起こっているか 磯が焼けている--磯焼け
- 水温環境の異なる2つの生育地のカジメ群落における現存量, 密度, 年齢組成の比較
- 14. 南極ブライド湾及びグンネルス堆で採集された原始腹足目貝類について(平成 3 年度総会(鳥羽市)研究発表要旨)
- イセエビプエルルス幼生の着底場所選択
- 40. 昭和基地付近及びブライド湾で採集されたベッコウタマガイ科貝類の分類学的研究(平成 2 年度日本貝類学会総会研究発表)
- 高知県土佐湾産カジメにおける葉状部の生産量と葉状部基部の大きさの季節変化
- 土佐湾の内湾域に設置した人工礁上の海藻類の遷移
- 土佐湾の外海域に設置した人工礁上に着生する海藻類の遷移
- 裸地プレート上の海藻類の遷移
- 南日本のがら藻場の生態と藻場造成(シンポジウム:藻場造成)
- Ice Algaeの繁殖を支配する条件としての日射と海氷下面の安定度 (英文)
- 土佐湾須崎地先の有用紅藻トサカノリ (スギノリ目, ミリン科) 群落に関する生態学的研究
- 台湾のトコブシの養殖とオゴノリ養殖
- ベトナム産オゴノリ属植物2種Gracilaria heteroclada,G.firmaの生活史と雄性生殖器官の型〔英文〕
- 昭和基地沿岸定着氷域におけるアイスアルジーおよび植物プランクトンの基礎生産量の見積もり(英文)
- 深層海水を用いたカジメEcklonia cavaの成長実験
- 山口県およびその周辺海域で確認されたスナメリの漂着や混獲などに関する報告
- ヒット素材の青海苔とモズク
- 海藻肥料による土壌改善と農産物の増産と品質向上
- 中華藻類学会Chinese Phycological Societyの紹介
- 海岸構造物を利用した海の森の創生 (特集 藻場・干潟を中心とする沿岸環境の保全・修復・創生(2))
- アオノリ養殖における 2種の採苗法による成長とその利用
- 第17回国際海藻シンポジウム(南アフリカ)参加記
- 流れ藻の組成と効用(ホンダワラ類の繁殖・生態と藻場造成技術)
- チリの海藻資源と海藻工業-チリ国訪問記-
- 海藻食品の有用成分と食材海藻の展望 (特集2 海藻成分の高度利用)
- フィリピン・セブ島で開かれた第16回国際藻類シンポジュウム(1998年4月12-17日)
- 異なる方法で採苗したスジアオノリの成長
- 藻場の生態系と藻場造成
- 電力発電所と共生する藻場の生態系
- 日本藻類学会第19回大会 (高知) を振り返って
- チリで開かれた第15回国際海藻シンポジウム (1995年1月8-13日)
- ベトナムで養殖したキリンサイ類, Kappaphycus alvareziiの成長
- 海水中での腸内細菌の消長に及ぼすし尿等の影響
- 海産プランクトンの増殖におよぼすし尿の効果
- 暖海域鳴門海峡で養殖されたマコンブの形態と品質
- 土佐湾沖の流れ藻の藻類学的研究
- 私がいまだに付着生物学会会員である理由
- 南極昭和基地で実施した沿岸海洋生態系研究(英文)
- 元国立極地研究所長 永田 武先生を悼む
- 元国立極地研究所長永田武先生を悼む〔含 肖像〕
- 北極海海氷域における基礎生産とエネルギー移動の時系列的変動の研究(PREFLA計画)(英文)
- 第28次南極地域観測隊夏隊報告1986-1987
- 第23次南極地域観測隊越冬隊報告1982-1983
- サロマ湖(塩水湖)におけるice algae による着色海氷(英文)
- 南極リュツォ・ホルム湾におけるウェッデルアザラシの航空機による個体数調査(英文)
- ウミタカスズキ(Notothenia rossii marmorata FISCHER)幼魚の摂餌行動
- 海氷下動物プランクトン採集器"NIPR-1"について〔英文〕
- 水族館の照明
- 鯨類飼育の歴史と今後の展望
- 常磐沖で捕獲されたシロハラセミイルカ〔外部形態・骨格計測〕
- 富戸産のアラリイルカ
- リーセル・ラルセン半島の新コウテイペンギンルッカリー
- 雌バンドウイルカにおける血中プロゲステロン,エストラジオ-ル,LHの周年変動〔英文〕
- 日本産ツルシラモおよび東南アジア産オゴノリ類から得られた寒天の収率と物性の比較〔英文〕
- 紅藻ツルシラモより得られた寒天のピルビン酸含量に及ぼす藻体年齢ならびにアルカリ処理の影響〔英文〕
- 海水中での腸内細菌の消長に及ぼすし尿等の影響