無歯科医地区学童を対象とした歯科保健計画

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無歯科医地区の小学生を対象に一定の歯科保健計画が実行された場合, どのような効果がもたらされるかを検討するために本研究がなされた。<BR>歯科保健計画は無歯科医村である岩手県衣川村の小学生 (年齢6歳〜11歳) を対象に1972年から1976年までの5ヵ年間, 年1回の視診型歯科検診を行ない, その後高度齲蝕歯の抜去と初期齲蝕永久歯の充填という限定された内容の診療を提供し, 併せて学童の歯痛について質問紙法により調査を行なうものであり, 対照校としたのは歯科受診の容易な仙台市内の1小学校であった。<BR>計画実施前の両群を比較すると衣川村の学童においてはDMFで仙台市内の学童と大差ないが, 齲蝕処置率は有意に低く, 齲蝕原因歯牙喪失率は有意に高かった。5ヵ年間の診療実施後においては衣川村の学童で齲蝕処置率が増大し, 仙台市内の学童と比較しても統計学的有意に高いことが確認された。また, 衣川村の学童の齲蝕原因歯牙喪失率は相当低くなり, 仙台市内の学童と同一水準に達した。<BR>歯痛については診療実施前, 中間, 計画終了後の3回, 同一内容の質問紙を提示し, 得られた返答を検討した。診療実施前において歯痛を持つ者の割合は仙台市内の学童に比較して衣川村の学童は明らかに高率であったが, 計画終了後においては逆に仙台市内の学童よりも低くなった。<BR>以上のことから, 毎年歯科検診を実施し, ひきつづき高度齲蝕歯の抜去と初期齲蝕歯の充填を行なうことにより無歯科医地区の学童でもかなりの歯科的な健康が得られることが判明した。

無歯科医地区学童を対象とした歯科保健計画

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