咬合面形態修正による齲蝕予防

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大臼歯咬合面の小窩裂溝は最も齲蝕感受性の強い部位であるが, 同部位を自浄が行なわれ易い形態に修正することによって咬合面の歯垢付着状況を減少させることが出来れば齲蝕予防が可能ではないかと考えた。<BR>岩手県下の1農村の学童の7歳〜8歳児から同顎の両側第1大臼歯の咬合面が健全な139組を抽出し, 新しく考案した「咬合面形態修正法」を適用した。すなわち, 歯垢をエリスロシン溶液で染め出し, O.P.I. 法により0〜3の指数値で咬合面歯垢付着状況を評価した。続いて, その1側を実験歯とし, 同顎反対側歯を対照歯とし, 実験歯の裂溝入口周辺部のエナメル質を切削器具で図1のごとく少量削除した。対照歯には何らの処置も施さなかった。その後12ヵ月間隔で最長48カ月間, 観察評価した結果, 実験群は対照群と比較していずれの経過月数においても齲蝕抑制率が50%前後であり, 統計学的に高い有意差が認められた。一方, 咬合面歯垢付着状況の改善は形態修正後実験群において明瞭であるが, 同様の傾向が対照群においても認められた。両群間の比較ではその差は明瞭でなく, わずかに48カ月経過群においてのみ5%以下の危険率で統計学的有意差が認められた。<BR>以上から, 咬合面形態修正法は大臼歯咬合面の齲蝕抑制に有効であるが, 咬合面歯垢の減少効果はそれほど著明ではないと結論された。
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文

咬合面形態修正による齲蝕予防

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